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2004年7月のコラム

地元優遇

 岩見沢市(北海道)は、 「官製談合防止法」が全国で初めて適用されたこと( 2003年1月)でも知られるが、朝日新聞社の情報公開請求に対して、公正取引委員会に押収されていた証拠書類を公表した(朝日新聞、2004年6月30日夕刊)。その中に、「官製談合」の決め手となった2002年度の発注予定額の一覧表(割り付け表)が含まれており、過去5か年の実績、落札額の平均、2002年度の予定額(総額約112億円)が153事業者名とともに、千円単位で記載されていた。記事では事業者名がぼかされていたが、市の元幹部は「発注担当課の複数の幹部職員が作成し、指名業者案も作っていた。庁内の指名委員会の前に、たびたび当時の市長に見せていた」と証言している、という。まさに官製談合の証拠である。

 では、なぜ行政が談合を進めるのであろうか。その理由としては、地元の産業を維持・発展させたいという産業政策としての積極論から、大都市のゼネコンに仕事を取られたくないという消極論、あるいは官公需法7条の「中小企業者の受注の機会を確保するために必要な施策を講ずるように努めなければならない」という規定を地元優遇と位置づける論理など、いくつか考えられる。また、住民感情という観点からも、地元優遇という考え方は受け入れられているようだといえるのかもしれない。

 しかしながら、この官製談合が一般的な地元産業の発展という論理を超えて、特定の事業者を優遇したり、特定の政治勢力にとっての支持を調達する手段として利用されたりしているとしたら、どうであろうか。それでも、住民は地元優遇、官製談合をいう考え方を受け入れるであろうか。

 地元優遇という考え方は、一見合理的なようだが、実は危険な要素を秘めているのである。多くの談合事件・贈収賄事件がこの地元優遇という大儀の下で行われてきたことを考えると、この際、地元優遇という考え方を見直しする必要があるのではないかと考えている。

 そんなことをしたら、政治家は誰も住民の支持を得ることができないという反論が聞こえてきそうだが、次のように考えたらどうであろうか。

 まず、積極論として取りあげた地元の産業を維持・発展させるという考え方だが、入札で地元企業を優遇するのではなく、地元企業の技術力を高めるための産業政策を正面から取り組むべきであろう。技術力が低くても、工事費が高くても地元企業に落札させるというのは、住民にとって好ましいとはいえない。

 また、地元とはどの範囲かという問題について、現在の日本では、生活圏が自治体の境界を超えており、とりわけ都市部では市街地が連続しているため、自治体の境界内の業者だけが地元だという住民感情はほとんどないと思われる。すなわち、生活圏から考えるならば、地元という概念は自治体の境界にとどまらないことになり、周辺自治体の事業者も地元と考えるべきであろう。

 消極論として取りあげた大都市のゼネコンに仕事を取られるということについては、次のように考えたい。すなわち、事務所のないゼネコンが工事を行う場合には、事務所を設置し、人を配置するなど、コストが高くなるはずである。ということはコスト面からみて地元はすでに優遇されているのである。

 また、地元企業の優遇ではなく、地元雇用の優遇という考え方にしたらどうだろうか。すなわち、入札参加書類の中に工事に際して従事する地元住民の比率を記入する欄を設け、総合評価型で判断する方法である。この場合、大都市のゼネコンが地元の雇用を進めるのであれば、不利にはならないが、そうでなければ不利になる。申請に虚偽がないかどうか工事途中にチェックすることも必要である。

 以上を要約すると、入札における地元企業の優遇という考え方を排除し、地元企業の技術力を高める産業政策を行い、地元企業の優遇から地元雇用の優遇に考え方を変更したらどうかという提案である。いかがであろうか 。

むとう ひろみ・法政大学教授)


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