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2011年4月コラム

3月11日に東北・関東沿岸を襲った大地震・大津波でなくなられた方々、

被災された多くの方々に、所員一同、心よりお悔やみ、お見舞い申し上げます 。

震災復興と地方自治

 まさに未曾有の大災害となった3.11大震災、その当日はこれほどの被災を想像できず、帰宅難民を経験はしたものの、「これまでのより大きい地震・津波」という感覚でいたような気がする。その後の数日は呆然として何も手につかず、次々に報じられる被災と事故の凄まじさに目を奪われていた。やがて大学の教え子たちの安否を気遣うメールのやりとりが始まり、次いで予定されていた研究会・講演会の中止、出かける準備をしていた離島調査や大学の新学年の開始延期などに接しているうちに、我が身の問題として向き合わざるを得ないこととなった。我が身とは、地方自治を研究する機関に身を置くものとして、この事態をどう受け止め、何かを成すことが可能かということになる。吾ひとりの対応は募金活動への協力や学用品支援NPOへの提供など細々と参加をしているが、研究所としてあるいは研究者としての使命はほかにあるはずだ。

 今回のこの大災害は、さまざまに呼ばれている。東北地方太平洋沖地震、東日本大震災、東北関東大震災などである。東北地方太平洋沖地震は気象庁の命名である。これでは、直面している事態の一部しか表現できていないような気がする。福島第1原発の事故の深刻さは、地震による倒壊や津波による根こそぎの破壊から立ち直ったとしてもなお克服することができない可能性がある。また、関東沿岸にまで広がった余震による被害や、ディズニーランドのある浦安市の液状化、長野県北部や静岡県東部で起きた地震が視野から落ちてしまう。このたびの震災のネーミングはこれから固まっていくのだろうが、それを問題にするのは、克服していかねばならない課題と方法およびその期間を、明確に意識しながら議論し実行していくことが必要だからだ。

 震災から3週間、いま必要なことは被災者たちの生活の日常化を急ぐこと、1日も早い犠牲者の発見と供養である。この点はどの被災地にも共通だろう。しかし、福島第1原発においては、なによりも放射能の漏出防止策を講ずることが課題である。そして生活日常化と放射能汚染から逃れるための避難方策が採られなければなるまい。それにしても、生活の日常化とは何と何が満たされる状態をいうのか、被災者たちの必要感(ニーズ)から明らかにすることが求められる。この段階をクリアするのにどれくらいの日月を要するのか、期間についての考え方をもつことも必要だろう。そして、この期間の先に「復興」という長く高い山がそびえる。これを被災地のことと思うか、それともこの国全体の見直しを含めた「新生」というかは大いに議論のいるところだ。だが、少なくとも電力が危機に陥った日本社会、原発への依存が語れなくなった日本社会を直視するならば、被災地だけの復興では済むまい。

 震災発生から救助・避難・生活支援などの段階は、それこそ「国を挙げて」総力で取り組む必要があり、そのような取り組みが諸外国からも評価されている。だが、復興あるいは国と地域の新生の段階では、自治と参加が最大限に行われることが求められよう。1日も早く元の場所での暮らしを回復したい、まちを再建したいと願う人々の想いを、まとめ上げ、共感を形にしたまちづくりを進めていくことが大切だ。住めなくなる土地が発生するかもしれない。そのようなとき、別な場所に自治体を創るという作業が必要になる。そのようなことが可能だろうかとも思う。未曾有ということの重さを感じる。

 政府・与党は大震災復旧復興特別立法を急いでいる。そのひとつに復興府など復興を総合的に担当する官庁を設置することも含まれている。各省庁の縦割りを排して復興に必要な権限を集中させることができるか、政治主導の力量が問われている。ここが、復興プランの作成およびその実施を担うことになるのだろうが、そこでの意思決定にどれだけ地方の声が届くかが問題だ。当然、被災地域の自治体から積極的に提案をしていくことが重要だが、その際に、散り散りになっている住民の声を集めること、そしてそれを自治体の意思として発信していくことの難しさに直面することだろう。だが、それを跳ばして復興を急ぐと、“自分たちのまち”とはかけ離れたものができあがってしまう恐れがある。1日も早い復旧・復興が望まれるのはもちろんだが、そのために自治体とその住民の参加が軽視されるようなことがあってはなるまい。自治をきっちりと組み込んだ復興が望まれる。

つじやま たかのぶ  公益財団法人地方自治総合研究所所長)

 

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