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2012年12月コラム

民主党政権と地方自治

 本誌がみなさんの手元に届いた頃は、総選挙の結果も出て新しい政治の風景が広がっていることであろう。選挙にあたっての任務もなく手持ち無沙汰にしているあいだに、民主党が政権についていた3年3ヶ月を振り返ってみたい。とはいうものの、普天間県外移設問題、東日本大震災への対応、消費増税、離党者続出など検証すべき話題は無尽蔵だ。そこで、我が研究所の守備範囲である「地方自治」の分野にしぼって振り返ってみたい。

 民主党政権が地方自治に関連して提出した最初の法案は、俗に「地域主権三法」と呼ばれる、「地域主権改革推進法」、「国と地方の協議の場に関する法律」及び「地方自治法一部改正法律」であった。2010年3月、第174回国会に提出され4月には参議院を通過したものの、上の「地域主権」という用語をめぐって混乱し、継続審議の末に成立したのは東日本大震災の衝撃のさなかの2011年4月28日であった。「地域主権」という言葉をめぐる批判的論点は本欄2009年10月号の今村都南雄「おぞましい『地域主権』の用語」がいち早く指摘していたのであった。

 この三法は一括して総務委員会で議論されたが、参議院の公聴会に参考人として出席した私は、国と地方の協議の場が国・地方関係に歴史的1ページを開くには、運用によほどの工夫が必要だと述べた。このとき参考人席で隣にいたのは後に総務大臣に就任して地方六団体と対立した片山善博氏であった(当時は慶大教授)。片山氏は国と地方の協議の場について次のような意見を述べた。「地方六団体は(中略)政治学では一般に圧力団体というんです。プレッシャーグループです」、「プレッシャーグループと政府が法律上協議の場を設けるって、これは非常に珍妙なことであります」。思えば、地方六団体との確執の前哨戦ともいえる発言であった。ところでこのときの改正地方自治法が地方自治にもたらしたものは何であっただろうか。それは議会の責任を重くすることにほかならない。例えば、議員の定数について法定上限を撤廃し、条例主義をとったことである。なるほど、法定上限は人口段階ごとに定数の上限を定めていたに過ぎないが、実際にはこれが「目安」となっていたことは疑いない。つまり、上限数から幾分かの減数をしてみせることで、住民には「多くはない」とのメッセージを送ることができたのである。これが撤廃されたということは、「わがまちにはこれくらいの議員が必要」、あるいは「これくらいが適当」ということを説明し納得を得なければならなくなることを意味する。はたしてそのような数字を案出することは可能であろうか。議会の苦難は続く。

 また、法定受託事務について議会の議決事件でなかったのを改めて、条例で議決事件として定めることができるようになった(「国の安全に関することその他の事由により議会の議決すべきものとすることが適当でないものとして政令で定めるもの」を除く)。じっくりとその効果を見据えていたい。つまり、議会が法定受託事務を議決することで何がどう変わったのか、地方自治とりわけ住民自治にどのような意義をもたらしたかが問題である。建前論が先行しただけのことだったのであろうか。

 民主党政権下ではもう一つ地方自治法改正法律が成立した。今年8月29日に成立したもので、内容は議会の通年会期制の採用、再議制度・専決処分など阿久根市で起きた問題への対処、条例公布を20日以内にするべしという名古屋市で起きた問題への対処など、弥縫的な改正が多かった。「何が変わった?」と問われれば「何も」というほかはない。このときの改正では、議員立法で「政務調査費」の「政務活動費」への変更を委員会修正でやってのけたことが批判を浴びた。

 ただ、立案過程に大きな変化があったので指摘しておこう。それは地方制度調査会をめぐる立案過程の動きである。民主党政権になって原口総務大臣は自らが議長を務める「地方行財政検討会議」を2010年1月に立ち上げた。その前年の6月に答申を行ってから開かれていない地方制度調査会に代わる組織のように思われた。そして、9月には総務大臣が片山善博氏に交代し、持論の税条例の直接請求、公の施設建設等へのレファレンダム導入を同会議に持ち出したが、いずれも積極的な反応が得られなかった。1年後の2011年8月、第30次地方制度調査会が何の前触れもなく開催された。2年ぶりのことであった。推測の域を出ないが、片山総務大臣としては新たな調査会の場において大臣提出の案を審議し直し、「地方自治法の抜本改正」の名に恥じない法案に仕上げようとしたのではなかったか。だが、地方六団体の抵抗で最後まで成案とならず上で述べた自治体で生起した事件への対処策に終始した。法案が国会に提出された2012年3月、片山氏はすでに総務大臣を降りていた。民主党政権とは地方自治にとって何であったのか、早急に検証が必要である。

つじやま たかのぶ 公益財団法人地方自治総合研究所所長)

 

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