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2014年8月コラム

小水力発電

 暑い夏がやってきた。心配事のひとつに電力がある。日本の電力はこの夏を乗り切れるのだろうか。このように書くと、原発が必要だという論理につながってしまうので、再生可能エネルギーの活用とグリーンカーテンや打ち水などの工夫による節電で夏を乗り切ることを考えたい。
 まず、日本の電力について、電気事業連合会の資料によれば、2013年度の発電量は9,400億kWh(キロワット時:消費電力の単位)で、これまでのピークは2007年度で1兆305億kWhであった。いうまでもなく2011年の東日本大震災以降、低下した。
 戦後の流れを概略的にみると、1950年代は圧倒的に水力に依存し、60年代は石炭と石油が水力を上回りはじめ、1970年代になると石油が6割以上を占めるようになった。前年度を下回るのは1973年のオイルショックや2008年のリーマンショック、そして2011年の東日本大震災などわずかで、それ以外はずっと右肩上がりを続けてきた。中でも原子力の抬頭がめざましく、オイルショックを契機に拡大する。しかし、2011年の福島の事故により、大きく後退した。一時は3割以上を占めていた原子力がゼロとなった現在、過剰な電力設備を有していたことが理解できる。原子力依存型の電気消費拡大政策は再考が必要である。
 ピークだった2007年度の電源別の構成比をみると、LNGが27%、原子力が26%、石炭が25%、石油等が13%、水力が8%、地熱及び新エネルギー(以下、地熱等)が1%であった。2013年度は、LNGが43%、石炭が30%、石油等が15%、水力が9%、地熱等が2%、原子力が1%となった。原子力が急減し、LNGが急増した。水力については、1960年代から800億kWh程度を維持しているが、比率は低下し続けた。
 外国の状況(2008年)をいくつかみてみると、もっとも消費量の多い中国は石炭が79%、水力が17%、原子力が2%、その他である。第2位のアメリカは石炭が49%、天然ガス21%、原子力19%、水力6%、その他である。特徴的なのはフランスで、原子力が77%を占めている。また、ブラジルは水力が80%、カナダも水力が59%で、水力を多用している。日本の自然(気候と地理)から考えると、日本はもっと水力を活用できると考えられる。
 水力発電は、1963年の黒四ダムの完成後、ほとんど増えていないが、膨大なコストによる巨大ダム開発という政策が終焉したのである。今日求められるのは、小水力発電である。
 小水力発電とは、出力1,000kW(キロワット:発電量の単位)以下の小規模な発電設備を指すことが多い。資源エネルギー庁のホームページによれば、日本には1,936の水力発電所があり、そのうち1,000kW以下は512である。2005年には全国小水力利用推進協議会が設立され、そのホームページには全国で419ヵ所の事例が掲載されている(2014年)。2012年には固定価格買取制度が導入されたため、小水力発電の導入が促進されると考えられる。
 小水力発電は、水の落差を利用する発電であり、過疎化が進行する中山間地において潜在力の高い発電であるが、そもそもの水を育む森の管理と一体となることから、中山間地をエネルギー自給という観点から応援する手法でもある。また、日本には農業用水路が発達しているため、それを小水力発電に利用できれば、その潜在力は計り知れない。さらに、夜間に発電できない太陽光に対し24時間利用でき、風力よりも安定的である。
 既に多様な取組が始まっているが、小水力発電の技術開発、水利権者の許可手続きなど発電開始までの手続き煩雑性など、まだまだ課題もある。しかしながら、自然エネルギーであるという価値と日本における潜在力の高さから、また地域におけるエネルギーの自前化という観点から、推進すべき手法である。

 

むとう ひろみ 法政大学公共政策研究科教授)

 

 

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