地方自治総合研究所

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月刊『自治総研』

2016年4月中央の動き


中央の動き


◎地域運営組織の具体化へ有識者会議 ― 内閣府
 内閣府は3月1日、地域の課題解決のための地域運営組織に関する有識者会議の初会合を開いた。昨年閣議決定されたまち・ひと・しごと創生総合戦略2015に明記された、2020年までに全国で「小さな拠点」を1,000カ所、「地域運営組織」を3,000団体形成する目標実現に向け、同会議を発足させた。今年夏にも中間報告をまとめる。石破担当相は同日の記者会見で、「市町村合併された町村では行政能力が落ち、急激な人口減少が進んでいる。そこで新たな自治組織的なものに法人格を付与するか否か、それを国としてどう位置付けるか結論を出したい」と述べた。併せて「町村役場が無くなったところではミニ役場的なものを目指す」などの取組事例を紹介した。
 また、総務省は3月29日までに地域運営組織に関する2冊の報告書を公表した。地域運営組織は全国で約1,600組織あり、声かけ・見守り、外出支援、買物支援など幅広い活動をしているが財政基盤は脆弱。このため、組織形成前に地域づくりワークショップなどで地域の課題を明確化して地域経営の指針を策定。自治体は、条例による位置付けや財政的支援・窓口設置などで支援すべきだとした。併せて、高齢化・人口減少で維持困難な集落が増加しているため、基幹集落を中心に複数の集落で形成する「集落ネットワーク圏形成に向けた取組マニュアル」もまとめた。


◎地方の独自規制の改革などで要請 ― 規制改革会議
 政府の規制改革会議は3月9日、各都道府県が独自に行っている規制の見直しを求める「国としての対応の考え方」をまとめ、地方六団体に意見照会した。「考え方」は、条例による規制が自治体により異なるため広域的活動を行っている企業等には阻害要因となっていると指摘。その具体例に、①理・美容所の床面積基準が自治体により異なる②旅館業経営許可の構造設備基準が自治体により異なる③競争入札参加資格要件で一定の営業年数を求める・求めない自治体がある ― などを挙げた。その上で、各府省は規制が経済活動に支障があるか検証し見直す。また、各自治体は規制実態を公表し見直しの環境を整備すべきだとした。
 これに対し、地方六団体は3月24日、「考え方」は憲法の条例制定権の趣旨に反し、地方分権改革を否定する「時代に逆行する提案」だと批判。国が行う支障の検証や法令で規制内容を定める場合は自治体の意見聴取や協議をするよう申し入れた。また、同日の会議では「地方版規制改革会議」(回答650自治体)について9団体が「設置を検討」、341団体が「要否を検討」、「予定はない」が266団体あったと報告した。
◎第6次地方分権一括法案を閣議決定 ― 政府
 政府は3月11日の閣議で第6次地方分権一括法案を決めた。2015年の自治体からの提案を受けて、自治体への事務・権限の移譲等11法律、義務付け・枠付け見直し4法律を盛り込んだ。自治体が無料職業紹介を実施できる「地方版ハローワークの創設」のほか、食鳥検査の指定検査機関の指定・監督などを国から都道府県等へ、また工場の緑地面積率等の地域準則の制定、高齢者居住安定確保計画の策定を都道府県から市町村へ権限移譲する。このほか、都道府県による保安林解除協議の農水大臣の同意などを廃止する。
 一方、内閣府は3月16日、16年の提案募集を3月17日から6月6日まで実施すると発表した。提案団体には、事前相談を求める。同時に、15年の提案団体が市町村では39団体(都道府県は43団体)と低調だったため、提案の掘り起こしに向け3月から5月にかけて市町村説明会を各ブロックで開催する。石破担当相は3月15日の記者会見で「知恵は現場にある。住民サービスの最前線で働いている市町村の職員の方々に、ぜひとも積極的なご提案をお願いしたい」と述べた。
◎TPP協定で関連法案を閣議決定 ― 政府
 政府は3月11日、環太平洋パートナーシップ協定の承認案と関連11法案を閣議決定し、国会に提出した。衆議院では新たに設置する特別委員会で集中審議する。TPP協定では、農林水産品などの95%で関税が撤廃されるが、肉用牛・豚肉の販売価格が生産費を下回った場合に差額を補てんする「マルキン」を法制化するほか、砂糖の価格調整制度を拡充する。また、輸出促進のため生産地と結びついた農林水産物の名称を生産地や品質等の基準とともに登録・保護する。
 一方、農水省は3月23日、「食と農の景勝地」の実施要綱をまとめた。多様な地域の食とそれを支える農林水産業、景観などの観光資源の魅力を海外に発信し、訪日外国人旅行者を誘客するため、意欲的な市町村地域を「食と農の景勝地」に認定する。農水省は今年11月にも第一弾の認定地域を発表する。また、農水省は3月30日、農村での就業機会拡大に向けた報告書をまとめた。農業者の高齢化や農地集積に伴う離農者対策として、農村地域工業等導入促進法について既に廃止した税制優遇措置などの復活などを求めた。
◎公務員の働き方改革で懇談会 ― 政府
 政府は3月14日、国家公務員の働き方改革懇談会の初会合を開いた。4月1日から公務員のフレックスタイム制が拡充されるが、長時間労働の是正や柔軟な働き方のあり方を議論し、夏にも報告書をまとめる。河野担当相は3月8日の記者会見で、「隗より始めよの実践として、霞が関の働き方が変わることが、日本の働き方改革につながるようにしたい」と述べた。
 一方、人事院は3月1日、国家公務員倫理に関するアンケート結果を発表した。職員や有識者、企業、市民に聞いた。その結果、「公務員の倫理観の印象」では、「倫理観が高い」は職員・有識者では8割あったが、市民は47%と低い。逆に、「倫理観が低い」との回答が職員等は1ケタ台だが、市民は23%と高かった。また、倫理規定が情報収集等の支障となっているかについて、「思わない」との回答が民間企業は8割あったが、市民や職員では5割とやや低い。このほか、各府省等が設置した「通報窓口」「公務員倫理ホットライン」を「どちらも知らない」職員が15%あった。
◎政府機関の地方移転で基本方針 ― 政府
 政府のまち・ひと・しごと創生本部は3月22日、政府関係機関地方移転の基本方針を決めた。東京一極集中是正の観点から道府県からの提案を踏まえて検討。中央省庁では、京都府提案の文化庁を全面的に移転するほか、消費者庁(徳島県)、総務省統計局(和歌山県)はICT活用などの試行・実証実験の上、8月までに結論を得る。特許庁(大阪府・長野県)、中小企業庁(大阪府)、観光庁(北海道・兵庫県)、気象庁(三重県)の移転は見送った。このほか、研究機関・研修所では国立健康・栄養研究所(大阪府)と酒類総合研究所東京事務所(広島県)を全部移転するほか、海洋研究開発機構(青森県・高知県)、教員研修センター(秋田県・富山県・福井県・三重県)などの一部をそれぞれ移転する。
 また、内閣府は3月11日、生涯活躍のまち形成に向け関係府省による支援チームを発足させた。中高年齢者が地方に移り住みアクティブな生活を送るとともに必要に応じて医療・介護を受けられる地域づくりを目指す同構想を盛り込んだ地域再生法案が閣議決定され、具体化へ動き出す。このため、関連府省が一体となって自治体の取組を支援する。
◎子どもの医療費軽減調整措置見直しへ ― 厚労省
 厚労省の子どもの医療制度のあり方検討会は3月22日、自治体が実施している子どもの医療費負担軽減に対する国の軽減調整措置の見直しを求める「議論のとりまとめ」を大筋了承した。子どもの医療費については、全自治体が少子化対策の一環として単独事業で軽減しているが、対象となる年齢や医療費の範囲などが異なり、さらに自治体間では「軽減競争」が拡大、地方からは国が統一的な基準を示すべきとの声が多い。
 「とりまとめ」は、「賛否両論があったが『一億総活躍社会』に向けて政府全体と少子化対策を推進する中、自治体の取組を支援する観点から、早急に見直すべきとの意見が大勢を占めた」とした。これを受けて厚労省は、関係省庁と調整を進める。このため、全国知事会など地方三団体は3月29日、同軽減調整措置を直ちに廃止するよう厚労省に要望した。
◎将来の公共サービスで世論調査 ― 内閣府
 内閣府は3月22日、将来の公共サービスのあり方に関する世論調査を発表した。「満足していない分野」では「福祉・介護」(27%)が最も高いが、社会保障費の増大抑制のための取組では「医療・介護提供体制の適正化」(45%)をトップに、「公平な負担・給付の適正化」(39%)、「年金改革」(38%)などの順で高い。一方、国・地方の経済・財政では、「一体的に改革すべき」が36%と高く、「経済再生を優先」(31%)、「財政再建を優先」(22%)を上回った。さらに、サービスと負担では、「負担増加を一定程度抑制・サービス水準低下を一定程度抑える」が47%で最も高く、「負担増を防ぐためサービス低下もやむを得ない」(20%)、「負担が増加してもサービス水準を維持」(18%)を上回った。
 このほか、「公的サービスの産業化」を進める分野では「福祉・介護」(44%)、「健康・医療」(37%)、「子ども・子育て」(31%)、「公共施設」(30%)の順で高く、産業化への期待では「サービスの種類が豊富になり質が良くなる」(44%)が高い。なお、「気をつけること」では、「情報が守られる」(64%)、「質が低下しない」(56%)が多い。
◎地方行革取組状況を「見える化」し公表 ― 総務省
 総務省は3月25日、地方行政サービス改革の取組状況(2015年4月現在)を発表した。今回は、民間委託や窓口業務の状況などを統一様式で比較可能な形で公表するなど「見える化」した。
 民間委託では、庁舎清掃や案内・受付等は多くの団体がほぼ100%実施しているが、学校用務員は都道府県34%、市町村33%、市町村の学校給食62%などで低い。また、窓口業務の民間委託を政令市は70%で実施しているが、一般市は25%、町村は3%と低い。なお、総合窓口は政令市では25%、一般市は14%で導入していた。このほか、クラウド化では単独クラウドは25%、自治体クラウドは17%で導入済みだった。また、公の施設の指定管理者制度を都道府県は6,909施設、政令市は7,912施設、市町村は6万1,976施設でそれぞれ導入。うち約4割の施設で株式会社やNPO法人など民間企業等が指定管理者となっている。指定期間は3年18%、5年65%で、3年前調査に比べ5年が9ポイント上昇した。また、公募は都道府県63%、市町村42%で実施。このほか、労働法令の遵守を都道府県は94%、市町村は60%で選定時に提示していた。

 

(井田 正夫・月刊「自治総研」編集委員・委嘱研究員、元自治日報編集長)