地方自治総合研究所

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月刊『自治総研』

2016年1月中央の動き


中央の動き


◎地方公務員の給与改定で通知 ― 総務省
 総務省は12月4日、国家公務員の給与改定実施の閣議決定を受けて、地方公務員の給与改定の取扱いについて都道府県等に通知した。地方団体も国と同様に対処するとともに、現に不適正な給与制度・運用の是正措置も要請した。また、国ではフレックスタイム制を2016年度から原則全職員を対象に拡充するが、「各地方団体の実情に即し適切に取り組むこと」とした。
 一方、12月25日に発表した地方公務員給与などの実態調査(15年4月現在)では、ラスパイレス指数は99.0で前年より0.1ポイント上昇。都道府県での最高は神奈川県104.1、最低は鳥取県91.8、市町村での最高は芦屋市104.7、最低は大分県姫島村75.7だった。地方公務員数は274万人で前年より約5千人減少、うち一般行政職はピーク時(1994年)より23%も減少。また、介護休暇の取得は女性2,263人、男性766人。育児休暇は8万7,225人が取得した。なお、NPO・官製ワーキングプア研究会は12月18日、「非正規公務員取扱い診断書」を発表した。都道府県や政令市など221団体を対象に、勤務条件など50項目の実態を調べた。その結果、15%で任用更新回数制限があったほか、任期の間に「空白期間」を置き、約半数の自治体で被保険者資格が継続していなかった。


◎2015年度の補正予算案を決定 ― 政府
 政府は12月18日、2015年度の補正予算案を閣議決定した。一億総活躍社会やTPP対応などを中心に総額3兆3,213億円を計上した。「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」対策では、保育所整備に511億円、保育士修学資金貸付等事業に566億円、公立学校等施設整備に438億円、介護基盤の整備加速化事業に922億円、介護人材の育成・確保・生産性向上に444億円などを計上。また、「地方創生加速化交付金」1,000億円を創設した。TPP対応では「攻めの農林水産業への転換」に3,122億円を計上。うち農地の大区画化・汎用化940億円、畜産クラスター事業610億円、木材産業・水産業の体質強化515億円などを計上した。
 また、総務省は総額633億円を計上。自治体の情報セキュリティ強化対策に255億円、緊急消防援助隊の災害対応力の強化に6.9億円などを計上。前年度剰余金等で地方交付税を1兆3,113億円増額計上した。
◎地方創生の「総合戦略2015」で改訂版 ― 政府
 政府のまち・ひと・しごと創生会議は12月18日、「まち・ひと・しごと創生総合戦略2015」改訂版をまとめた。「戦略策定」から「事業推進」に向け、少子化対策では、各地に自治体や労使団体等が参加する「地域働き方改革会議」(仮称)を設置し、関係省庁の支援チーム(仮称)が支援。また、連携中枢都市圏の30圏域形成(2020年)、小さな拠点を全国で1,000カ所・地域運営組織を全国で3,000団体形成(同)する。政府関係機関の移転では、検討対象を提案のあった70機関から文化庁など中央省庁13機関・研究機関23機関に絞った。今年3月にも移転機関を決める。
 また、日本版CCRC構想有識者会議が12月11日、最終報告をまとめた。高齢者が地方に移住し、アクティブな生活と必要な医療・介護が受けられる地域づくりを目指す。自治体は、基本計画と事業計画を策定するとともに事業主体を選定。国は、近く「生涯活躍のまち支援チーム」(仮称)を設置し、構想実現に取り組む自治体10~20ほど選んで重点的に支援する。
◎地方創生加速化交付金などで説明会 ― 内閣府
 内閣府は12月18日、今年度補正予算案に計上された地方創生加速化交付金1,000億円の概要を都道府県等担当課長説明会で説明した。同交付金は補助率10分の10で、1団体当たり申請額は都道府県4億~8億円(5事業まで)、市町村4千~8千万円(2事業まで)とした。対象事業は、地方版総合戦略に位置付けられたもので、「官民協働」「地域間・政策間連携」など先駆的な事業とした。その具体例に、ITを活用した中堅・中小企業の生産性向上や新事業促進、農林水産業の輸出拡大、観光振興、対日投資促進、生涯活躍のまち、地方創生人材の確保・育成、若者雇用対策、ワークライフバランスの実現、コンパクトシティ、小さな拠点、まちの賑わいの創出、連携中枢都市などを挙げた。また、KPI(重要業績評価指標)の設定やPDCAの整備も求めた。2月中旬を実施計画の提出期限とし、3月下旬にも交付決定する。
 また、2016年度予算案に地方創生推進交付金(新型交付金)1,000億円(補助率2分の1)が計上された。このほか、各府省予算案でも合計1兆5,503億円の地方創生関連予算が計上されている。
◎2016年度の地方財政対策が決着 ― 総務省
 2016年度の地方財政対策が12月22日、決着した。一般財源総額を前年度比1,307億円(0.2%)増の61兆6,792億円確保するとともに、地方税・地方譲与税が41兆1,344億円、同9,571億円(2.4%)増加する中、地方交付税総額は同546億円(0.3%)減の16兆7,003億円確保した。また、財源不足額は同2兆2,142億円(28.3%)減の5兆6,063億円に減少。このため、臨時財政対策債も同7,370億円(16.3%)減の3兆7,880億円に縮小した。別枠加算は廃止する一方、自治体情報システムや高齢者の生活支援、森林吸収源対策など重点課題対応分(仮称)2,500億円を創設した。このほか、「まち・ひと・しごと創生事業費」を16年度も引き続き1兆円確保、16年度に創設される新型交付金(地方創生推進交付金)の地方負担分には地方財政措置を講じる。この結果、16年度の地方財政計画の規模は同5,000億円増の85兆7,700億円となる。
 また、16年度総務省予算案では、新規に「ふるさとテレワーク」推進(7.2億円)、自治体の行政サービスのオープン化・アウトソーシング推進(1億円)、消防防災分野での女性の活躍促進(0.5億円)などを創設した。
◎地方分権の地方提案で対応方針を決定 ― 政府
 政府は12月22日、2015年の地方からの提案等に関する対応方針を閣議決定した。2回目の今回は228件の提案に対し166件、73%が実現。懸案事項だったハローワークの地方移管(「地方版ハローワーク」の設置)や「試し移住」など空き家への短期居住の旅館業法適用除外、都市公園の運動施設敷地面積の基準弾力化などが盛り込まれた。政府は通常国会に分権改革一括法案を提出するが、ハローワーク関係は遅れる。
 また、内閣府は12月11日、「地方分権改革事例集」(2015年版)を作成した。地方分権改革の取組の背景や概要・成果などを紹介したもの。「特別養護老人ホームの居室定員基準の緩和で経済的負担を軽減」(鹿児島県)、「保育所面積基準の弾力運用で待機児童を減少」(大阪市)、「坂が多い地域特性に応じた道路基準の緩和でコストを抑えた道路を整備」(長崎市)、「建築基準法を適用除外とする条例で歴史的建築物を保存活用」(京都市)、「農家レストラン兼宿泊施設、見守り配食サービスで地域コミュニティ活性化」(宇和島市)など事例30件が紹介されている。
◎2016年度の政府税制改正大綱を決定 ― 政府
 政府は12月24日、2016年度の政府税制改正大綱を閣議決定した。地方税関係では、法人実効税率引き下げ(29.97%)に対応して外形標準課税を8分の5に拡大。また、地方法人課税の偏在是正のため法人住民税の一部を交付税原資化。併せて、地方法人特別税・譲与税を廃止するとともに、法人事業税の一部を都道府県が市町村に交付する法人事業税交付金を創設する。自動車取得税は消費税10%時に廃止し、自動車税・軽自動車税にそれぞれ環境性能割(仮称)を導入。また、地域の中小企業による設備投資支援のため固定資産税の課税標準に特例措置(減税)を創設する一方、遊休農地の課税を強化。このほか、自治体への法人が行う寄附を新たに税額控除する地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)も創設する。
 さらに、消費税(国・地方)の軽減税率制度を飲食料品(酒類・外食等を除く)に2017年4月から導入する。地方3団体は、同軽減税率の減収分を代替財源等で確実に措置するよう求めるコメントをそれぞれ発表。また、高市総務相は12月15日の記者会見で、地方の減収が3,000億円超になるとし、「地方の社会保障の安定財源確保を目指して努力したい」と述べた。
◎財政再生へアクション・プログラム ― 諮問会議
 政府の経済財政諮問会議は12月24日、「経済・財政再生アクション・プログラム」を決定した。社会保障・社会資本整備等・地方行財政について改革の内容・規模・時期等などの進捗管理を具体化したもの。
 地方行財政改革では、歳出効率化・業務改革の他団体モデルを基準財政需要額の算定に反映させる「トップランナー方式」を導入する。このほか、①自治体の住民一人当たり行政コストや固定資産台帳整備等でストック情報の「見える化」②都道府県別の一人当たり行政コストと財源内訳の「見える化」③業務改革モデルプロジェクトや標準委託仕様書作成で、公的サービスの産業化の加速 ― なども盛り込んだ。このほか、社会保障分野では都道府県別・市町村別一人当たり「医療+介護」費を「見える化」するほか、地域医療構想を2016年度末までに前倒し策定し医療提供体制を適正化。社会資本整備等ではインフラ長寿命化とメンテナンス産業の育成・拡大、教育効果のエビデンス重視などを挙げた。同会議で安倍首相は、「関係大臣は政府一丸となって制度改革を実施してほしい。その際、鍵である『見える化』を単なる情報公開に終わらせることなく改革の推進力にしてほしい」と指示した。
◎TPPで効果試算・農業で市町村アンケート ― 政府
 政府は12月24日の経済財政諮問会議で、TPPに伴う経済効果分析を報告した。実質的GDP水準は約14兆円の拡大効果が見込まれ、労働供給も約80万人増加する一方、農林水産分野では関税削減で生産は減少するがその減少額は1,300~2,100億円程度にとどまると試算した。
 また、農水省の農村の就業機会拡大検討会と農地転用規制検討会は12月17日、21日、それぞれ市町村アンケート結果をまとめた。就業機会創出の対象を過疎地域等では3割が「地域外からの移住・定住者」としているが、10万人以上では8割が「地域内の居住者」としていた。さらに、過疎地域等では7割が「地域資源を活用した内発的産業の育成」を重視しているのに対し、三大都市圏では6割が「地域外からの工場誘致」を重視していた。また、市町村の6割が「農家の転用期待が農地流動化の支障となっている」と認識しているが、農家アンケートでは28%で耕作していない農地を抱えており、うち25%がその理由に「いつでも農地転用できるようにしておきたいから」としていた。

 

(井田 正夫・月刊「自治総研」編集委員・委嘱研究員、元自治日報編集長)