2006年6月のコラム
こだわった自治法96条2項括弧書き |
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地方自治法の一部改正法案が5月末日に可決成立した。まだ詳しくは調べていないが、衆議院でも参議院でもこれといった議論が交わされなかったようである。新聞報道でもまったくといってよいほど取り上げられることはなかった。 今度の一部改正は昨年 それに比べて、地方議会制度に関する改正はどうであったろうか。3議長会から示された改革要望は多岐にわたったが、法改正までこぎつけることができたのは、そのごく一部であった。臨時会の招集請求権が議長に付与されたことや委員会に議案提出権が認められたこと、あるいは、特定の個別案件について学識経験者の調査・報告ができるようになったことなどが具体例である。長の専決処分について付せられていた、「議会を招集する暇がないとき」という前時代的な要件も表現が改められた。 私自身が最もこだわったのは、地方議会の議決権を制約している地方自治法 第1次分権改革の成果である新地方自治法の中で、これまであまり焦点化されることがなかった条文であるが、かねてから私は、なぜ議会サイドがあの括弧書きに注文をつけないのか、不思議でならなかった。もちろん、新地方自治法においてあの括弧書きが挿入された事情を知らないわけではない。各省の了解を得るには、そうするほかなかったのであろう。しかしそれにしても、地方議会の権能拡充を本気で考えるのであれば、あの括弧書きをそのままに放置しておくことなど到底できないはずでのものである。過日の全国町村議会議長・副議長研修会でパネルディスカッションのコーディネーター役をつとめながら、あえて「議会人はなぜ怒らないのか」とやや感情的とも受け取られるような発言をしたのもそのためである。
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(いまむら つなお・中央大学教授) |