地方自治総合研究所

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月刊『自治総研』

2002年8月自治動向Ⅱ


京都市が町屋保全で緩和型の独自条例制定へ
内海麻利
 地域の独自性の保全・継承、あるいは地域資源の活用という観点から、伝統的な町並みや建築物の保全は重要である。特にこれらの建築空間は、景観的な側面のみならず、これまで地域独自で培われた生活様式や産業振興などとも深い関わりを持っている。
 現在全国に点在する、生活に密着した伝統的な木造建築物、いわゆる町屋や武家屋敷などが多く残る地域は、その形成過程から都市の中心部に位置し、都市計画法上の防火地域や準防火地域に指定されている場合が多い。つまり、建築物の外壁面を不燃化するなど全国一律の防火規制が適用され、新築や改築の際には、伝統的な意匠や建築空間を残すことが困難となっている。

 こうした町屋が約28,000軒(H10)立地し、その保全・継承を重要施策として掲げる京都市では、伝統的な町並みや建築物を残している地区について、「地区の自主的な防火に対する取組が充実していること」、「建築物の内部の不燃化を図るなど、防火性能を確保すること」を条件に、防火指定を解除し、伝統的外観を残すことができる制度の条例案を9月市議会に提案した。これが成立すれば、景観や建築空間の保全と防災性能を保ったままの改築などが可能となる。とりわけ、伝統的建造物保全地区(都市計画法)や登録文化財制度(文化財保護法)等、柔軟性に欠ける法制度や、規制と補償措置を主な手法としたこれまでの条例による制度とは異なり、建築規制の緩和という新しい発想による全国でも初めての制度である。 
 ただし、防火規制の解除にあたいする条件、すなわち住民自治をベースとする地域の自主的な取組と、国の基準を技術的にカバーできる防火性能を担保できるかが注目されるところであり、地方の自治力と技術力が試される制度となろう。
抜粋及び参照
文責 : 内海麻利