地方自治総合研究所

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月刊『自治総研』

2019年2月中央の動き


中央の動き


◎今年の統一地方選挙予定団体を発表 ― 総務省
 総務省は1月1日、今年行われる統一地方選挙(4月7日・同21日投票)の執行予定団体を発表した。首長では、知事は10道県(北海道、神奈川、福井、三重、奈良、鳥取、島根、徳島、福岡、大分)、政令市は5市(札幌、相模原、静岡、浜松、広島)で行われるほか、82市、11特別区、120町村で行われる。統一率は知事21%、政令市長25%、一般市長11%、区長48%、町村長13%と低い。また、都道府県議会41団体(統一率87%)、政令市議会17団体(同85%)、一般市議会294団体(同38%)、特別区議会20団体(同87%)、町村議会373団体(同40%)で行われる。
 なお、昨年、政治分野における男女共同参画推進法が施行(5月23日)された。衆参両院や地方議会選挙で候補者数を男女均等となるよう国・自治体や政党に努力するよう求めている。しかし、総務省が昨年暮れに発表した調査(2017年12月末現在)では、女性首長は3知事、21市区長、6町村長だけ。女性議員も都道府県議会264人(10%)、市区町村議会3,947人(13%)と、現状は「均等」とはほど遠いのが実態。


◎介護保険見直しで「地域づくり戦略」 ― 厚労省
 厚労省は1月18日開催した全国厚生労働部局長会議で、介護保険制度の第8期(2021~23年度)に向けた見直しで新たに「地域づくり戦略」を具体化する方針を示した。現役世代の急減と財政制約の中では、市町村の役割が不可欠だとして、①団地や集落・ショッピングセンターなどを活用した体操など「通いの場」づくり②病院付き添いや見守り、買物や電球取替えなど日々の生活を支援する「地域の支え合い」③医師やリハビリ専門職、ケアマネジャー、地域包括支援センターなど専門職が智恵を持ち寄る「地域ケア会議」を市町村が主催する、などとした。
 一方、政府の経済財政諮問会議は1月18日、今年の「骨太の方針」の検討課題を示した。ソサエティ5.0時代にふさわしい仕組づくりのほか、全世代型社会保障の推進と生産性向上、行政サービスでの民間ビジネス拡大、広域的な地方行政サービスを促す仕組み、賃上げ・最低賃金の引上げ、ワイズスペンディングやEBPMを通じた歳出改革の強化などを挙げた。
◎産業廃棄物・廃家電の不法投棄状況を発表 ― 環境省
 環境省は1月11日、産業廃棄物の不法投棄状況を発表した。2017年度に新たに判明した不法投棄は163件、その投棄量は3万5,716トンで、前年より32件、8,378トン増えた。種類別では建設混合廃棄物が51件、1万3,521トンで最も多く、次いでがれき類60件、9,655トン、汚泥7件、6,880トンなどが続く。都道府県別では、岐阜県4,767トン(2件)、滋賀県4,026トン(3件)、山梨県3,553トン(6件)などで多いが、10県(秋田、神奈川、富山、福井、和歌山、鳥取、山口、徳島、高知、佐賀)ではゼロだった。なお、不法投棄の実行者(新規判明事案)は排出事業者が90件、1万6,691トンで最も多く、次いで不明44件、5,106トンなどと続いている。
 また、同省は1月7日、家電リサイクル法の対象4品目の17年度の不法投棄状況を発表した。市町村が回収した不法投棄廃家電は合計5万4,200台で、前年より13%減少した。品目別ではブラウン管テレビ47%、冷蔵庫24%、洗濯機等14%、エアコン2%だった。都道府県別では、東京都3,881台、埼玉県3,796台、愛知県3,397台、大阪府3,376台、千葉県3,363台で多い。
◎企業版ふるさと納税で大臣表彰 ― 内閣府
 内閣府は1月11日、企業版ふるさと納税の大臣表彰の受賞者に、岐阜県、各務原市、玉野市と、民間部門3社を決めた。岐阜県は航空宇宙科学博物館の宇宙教育プログラムを新規開発、各務原市は航空宇宙科学博物館で子どもとボランティア交流企画展を開催。玉野市は市立高校に工業系学科を新設し地元企業へのインターンシップ制度を充実した。民間部門では夕張市に寄付した㈱ニトリホールディングス、秋田県に寄付した㈱アルビオンなど。
 一方、総務省はこのほど、ふるさと納税の地場産品についての「整理イメージ」を各自治体に送付した。ふるさと納税の返礼品を寄付額の3割以下・地場産品に限定し、該当しない団体は同制度から除外するが、改めて地場産品の例示を示した。認める地場産品は、①当該団体の宿泊を条件とした旅行券②区域内で原材料を生産、加工等は区域外で実施③原材料は区域外だが、加工行程を区域内で実施④近隣の地域のものと混在が避けられない⑤区域外で生産された当該団体のゆるきゃらグッズ ― などを示した。
◎自治体の空き家対策で実態調査発表 ― 総務省
 総務省は1月22日、空き家対策に対する実態調査を発表した。空家法の施行後2年間で助言・指導は314団体、代執行は40団体で実施しているが、うち93団体を調べたところ、管理不全空き家に53団体が助言・指導し、9団体が10件の行政代執行を行った。また、所有者不明空き家に30団体が略式代行を実施したが、代執行費用を全額回収できたのは48事例中5事例(品川区423万円、宇部市172万円、香取市119万円など)だけ。十日町市1,040万円をはじめ、五所川原市583万円、姫路市416万円などでは自治体が全額を負担した。
 一方、所有者不明土地問題研究会は1月25日、最終報告を発表した。所有者だけでは売却が困難な利活用可能な土地には第三者組織が売却希望者と購入希望者とをマッチング、利活用が困難な土地は取得・管理する組織の設置を提言した。また、国交省は1月24日、土地基本法見直しの素案をまとめた。土地の管理や利用に関する所有者の責務とその責務の担保措置などが柱で、2020年に改正法案を提出する。法務省は1月11日、所有者が判明しない場合でも土地の売却を可能とするほか、「変則型登記」の正常化を盛り込んだ法案骨子を示した。関連法案を今通常国会に提出する。
◎過疎地域の社会的価値等でアンケート ― 総務省
 総務省は1月23日開催した第5回過疎問題懇談会に、過疎地域の社会的価値等アンケート結果を報告した。過疎地域の重要な公益的機能では「食料や水を生産・供給する場」「多様な生態系・自然環境を保全」「都市と異なる新しいライフスタイルが実現できる場」を挙げる回答が多く、72%が過疎地域は「日本にとって大切」と回答。また、過疎地域で発生している問題では「公共交通の利便性低下」「独居高齢者の増加」などを9割が知っており、74%が「過疎地域への支援は必要」と回答した。その支援策では「医療・福祉サービスの充実」「子育て・教育環境の整備」「Uターンや移住推進」などで多かった。同懇談会では、現行過疎法の期限切れ(2021年3月)に向け新たな過疎対策を検討しており、今年3月にも中間取りまとめを行う。
 一方、内閣府は1月29日、小さな拠点づくり全国フォーラムを都内で開催した。中山間地域で展開されている地域運営組織や小さな拠点の形成をめぐり、全国の関係者が情報交流するため開催。矢野富夫・前高知県梼原町長が基調講演した後、分科会が①地域運営組織の設立・運営のプロセスデザイン②持続可能な組織づくり③小さな拠点と暮らしの足の困りごととつくり方 ― などをテーマに開催された。
◎中枢中核都市の支援策など審議 ― 内閣府検討会
 内閣府は1月23日、地方創生推進交付金の在り方検討会を開き、中枢中核都市の支援策等を議論した。東京圏への転出が地方の中枢都市で多いため同交付金を活用して転出抑制を図ろうと、既に候補地82団体を指定している。今後、支援する共通の政策テーマについてアンケート調査し、それを踏まえて4~5の政策テーマごとに省庁横断支援チームを編成、手挙げ方式で支援対象都市を募集。数カ所を選定した上で、1年間の実施を踏まえて他都市への横展開を図ることにした。
 また、内閣府は東京圏から地方への移住を後押しするため、2019年度から最大300万円を支援する。対象者は東京圏在住の東京23区への通勤者で、地方の自治体が対象とした中小企業等に就業すれば100万円支給する。なお、東京圏在住期間は5年以上。また、地方での起業を後押しするため200万円の起業支援金も支給する。このほか、関係省庁が移住者を採用した中小企業の採用活動費助成(厚労省)、移住者の住宅建設・購入への住宅ローン金利引き下げ(国交省)、企業の設備資金の融資支援(中小企業庁)なども行う。
◎全国都道府県財政課長等会議を開催 ― 総務省
 総務省は1月25日、全国都道府県財政課長等会議を開き、2019年度の地方財政の見通し・予算編成上の留意事項(事務連絡)を示し、各担当課長等が留意点などを説明した。19年度の地方財政対策では、地方財政安定化に向け一般財源の今後3年間・実質同水準が閣議決定された一方、臨時財政対策債を大幅抑制するなど地方財政の健全化も進めることができたとした。
 その上で、個別課題について、①幼児教育の無償化では、認可外保育施設等も新たに対象となるが、既に先行して取り組んできた団体は、財政面で充実するので子育て支援の一層の充実に努めてほしい②来年は消費税の平準化対策が重要となるので、自ら重要な主体との意識を持った取組が必要③市町村役場の緊急保全事業は20年度までに実施設計する場合も財政措置の対象としたほか、水道・下水道・病院の経営が厳しくなるので広域化や再編など先手の対応をしてほしい④各団体は基金の考え方・積立状況、将来見通しなどの情報公開を徹底するなど適切な対応が再び問題を顕在化させないためにも必要だ ― などと説明した。
◎会計年度職員の関係条例提案状況を公表 ― 総務省
 総務省は1月25日、会計年度任用職員制度の関係条例案の議会提案予定時期の調査結果を公表した。同制度は2020年4月に施行されるが、18年12月1日現在、関係条例の議会提案時期は24%が4~6月、61%が7~9月、10%が10~12月としているが、未定が3%(22市・27町村)あった。また、施行に向けた検討状況でも、未着手が「職の再設定」で75団体(4%)、「任用等」で227団体(13%)、「給与」で226団体(13%)、「勤務時間」で234団体(13%)あり、さらに全ての項目で未着手が68団体(4%)あった。このため、総務省は、同日の全国都道府県財政課長等会議で「直ちに条例制定の準備と、改正法施行に向けた検討を進める必要がある」と指摘した。
 また、総務省は同会議で地方行革について説明。今後の人口縮小時代に向け、各自治体は従来の半分の職員でも対応できるようAI・ロボティクスを活用したスマート自治体への転換が必要だと指摘。併せて、窓口業務の委託について、地方独立行政法人が行える申請事務を拡充するほか、同法人が窓口関連業務を行える新たな共同活用の仕組みを整備するなどとした。

 

(井田 正夫・月刊『自治総研』編集委員・委嘱研究員、元自治日報編集長)