介護保険制度の25年
介護保険法が2000年4月1日に施行されて25年になる。この間に、介護保険制度は、「歩きながら考える」状態であったと言える。このような介護保険制度の歩みをふらつかせた要因の第1は、財務省サイドからする財源圧縮圧力だと言える。要因の第2は、高齢化の急速な進行と介護需要の拡大である。
日本の介護保険制度の財源構成は、その50%が被保険者である国民の負担する保険料である。この内訳は、第1号被保険者(65歳以上)が22%、第2号被保険者(40歳以上)が28%になっている。これは2013年の人口比である。
残りの50%は、税金である。うち国が25%、都道府県が12.5%、市区町村が12.5%となっている。
この間に、介護保険法の改正という形で制度の改正が、7回行われている。
・2020年の改正では、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築も支援することとした。また、医療と介護のデータ基盤の整備を推進するよう求めた。
・2023年の介護保険法の改正では、医療・介護サービスの質の向上を図るため、医療保険者と介護保険者が被保険者等に係る医療・介護情報の収集・提供等を行う事業を一体的に実施することとし、介護保険者が行う当該事業を地域支援事業として位置付けている。
介護保険の産婆役と言われる堤修三氏(大阪大学大学院教授、元厚労省老健局長)は、「最近の制度改革を見ると、国は自治体を縛りすぎているのではないかと感じる。(略)制度の余白を残し、自治体が地域の実情に応じて事業運営に工夫をこらすべきであるのに、国は余白を塗りつぶしてしまった。その結果、保険者である市町村から考える機会を摘み取ってしまった。」と繰り返し指摘している(東洋経済on line 2011、1.24)。市民が見て分かり易い制度に変えていくことが求められている。