地方自治総合研究所

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月刊『自治総研』

2023年3月中央の動き

◎統一地方選挙対象は27%の981団体に ― 総務省

総務省は1月1日、今年春の統一地方選挙の執行予定団体を発表した。対象は合計981団体で、統一率は前回とほぼ同率の27%となる。うち首長では、知事は北海道、神奈川、福井、大阪、奈良、鳥取、島根、徳島、大分の9道府県知事。また、指定市長は札幌市、相模原市、静岡市、浜松市、大阪市、広島市の6市長。その他の市長は水戸市、津市、高松市、長崎市、大分市など84市長、特別区長は中央区、文京区など12区長。さらに町村長は123町村長が対象となる。一方、議員は都道府県では岩手、宮城、福島、茨城、東京、沖縄の6都県を除く41道府県議会が対象となるほか、指定市議会は17市、その他の市議会は294市、特別区議会は21区、町村議会は374町村が対象となっている。

また、総務省は同日、2023年中の首長・議会の任期満了調を発表した。知事は18団体(うち統一選9団体)、市区長は194団体(同102団体)、町村長は244団体(同123団体)。また、都道府県議会は45団体(同41団体)、市区議会は428団体(同332団体)、町村議会は552団体(同374団体)となっている。

◎学校施設の脱炭素化へZEB化など提案 ― 文科省

文科省の学校施設の脱炭素化ワーキンググループは1月16日、2050年カーボンニュートラル実現に向け公立学校施設での年間エネルギー消費量の収支をゼロとするZEB化への推進などを求める報告書(素案)をまとめた。首長部局と検討体制を構築し、公立学校施設での取組目標の策定と計画的・効率的な整備を推進する。また、既存学校施設の段階的な省エネ改修と再生可能エネルギー設備の導入やESCO事業・リースなど多様な整備手法等の活用を求めた。併せて、環境教育のためエネルギー消費量や創エネルギーの状況、導入環境技術の仕組の「見える化」も提案した。

また、文科省は1月17日、公立学校施設の木材利用状況を発表した。2021年度に新しく建築された学校施設690棟のうち520棟(75%)で木材を使用。木材利用量では、4万8,185m³の木材を使用し、うち1万3,818m³(29%)が木造施設、3万4,367m³(71%)が非木造施設の内装木質化で使用されていた。なお、同省は学校施設に木材を活用するための手引書を作成したほか、各都道府県教育委員会等に学校施設への木材利用促進の要請を通知している。

◎ローカル線で自治体と協議会創設など提言 ― 国交省

国交省の交通政策審議会は1月17日、地域公共交通の「リ・デザイン」(再構築)を求める中間とりまとめ(素案)を了承した。ローカル鉄道が路線廃止と利用者減の「負のスパイラル」に陥っているため、地域が主体となった再構築策を提案した。具体的には、自治体・事業者からの要請に基づき国交相が組織する協議会を設置。関係者が合意した再構築方針に基づき鉄道の維持や他の輸送モードへ転換する。このほか、①自治体と交通事業者が一定区域について「エリア一括協定」を結び自治体が交通サービス水準を定めて運行②上下分離の取組を支援する仕組 ― などを創設。さらに、自治体が地域の社会資本の一部として公共交通を維持・確保する取組を支援することも提案した。

一方、国交省と総務省は1月11日、自治体が2021年度に発注した工事施行の平準化状況を発表した。年間の工事平均稼働件数に占める4~6月の割合を示したもので、1に近いほど平準化が進んでいる。都道府県の全国平均は0.80、市町村は同0.62だった。都道府県では宮城の1.00をトップに、大分0.92、岩手0.91、広島・香川各0.90で高く、逆に、茨城の0.63を筆頭に、石川0.65、千葉0.66などで低い。

◎経済支援や働き方改革などこども政策強化 ― 政府

政府は1月19日、こども政策強化に関する関係府省会議を発足させた。主な検討事項に、①児童手当を中心に経済的支援の強化②幼児教育や保育サービスの量・質両面からの強化③働き方改革と制度充実 ― の3点を掲げ、3月末に具体的たたき台をまとめる。総理指示では、「6月の骨太方針までに将来的な子ども予算倍増に向けた大枠を提示する」としている。

これを受けて、政府の経済財政諮問会議は1月24日、今後の少子化対策の審議を開始した。岸田首相は同会議で、「少子化への対応は待ったなしの重要課題。6月の骨太方針までに将来的なこども予算倍増に向けた大枠を提示する」と述べた。民間議員が示した「今後の少子化対策」では、出生率上昇がなければ総人口に占める生産年齢人口の割合が半分を割り込むとし、少子化対策では経済的支援と働き方改革など「ベスト・ポリシーミックスによる政策体系」が必要だと指摘。その具体策に、①家族関係社会支出の拡充②住宅・教育の経済的負担への支援③保育サービスの拡充など育児・仕事の両立支援④長時間労働の是正・男性の家事参画促進・女性のL字カーブ解消⑤日本型の職務給の確立を通じた若年世代の所得向上 ― などを掲げた。

◎自治体DX推進手順書などを改訂 ― 総務省

総務省は1月20日、自治体DX推進手順書の改訂を発表した。うち、「自治体DX全体手順書」ではデジタル人材の確保・育成の全体像を体系化した上で集中的に育成すべき人物像を「マネジメントレベル(職階)」と「専門性の高さ」から整理し解説。実務の中核を担う「DX推進リーダー」の役割も明確化した。

一方、文科省のGIGAスクール構想下の校務情報化専門家会議は1月20日、「最終まとめ」(素案)を提示した。素案は、校務情報化の課題に①テレワークで出張先での校務処理ができない②教育委員会ごとにシステムが異なる③導入コストが高く小規模自治体の教育委員会では導入が進んでいない ― などを指摘。その上で、今後取り組むべき施策に①次世代の校務DXモデルケースの創出②「校務DXガイドライン」(仮称)の策定③「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改訂 ― などを挙げた。併せて、過渡的な取組として、汎用クラウドツールを活用した教職員間での情報交換の励行、保護者への連絡・情報交換でのクラウドツールの活用なども提案した。

◎DX進展と感染症対応などの審議を再開 ― 地制調

政府の第33次地方制度調査会は、昨年暮れに住民に開かれた地方議会の対応方策を答申したが、1月23日の第10回専門小委員会から、改めてDXの進展とコロナ感染症対応で直面した課題への対応策の審議を再開した。任期の来年1月までに答申をまとめる。

同日の専門小委員会では、厚労省が今回のコロナ対応で国・自治体間や自治体間で生じた調整困難事例と対応策など、内閣官房は特措法と感染症法での国と地方の関係や次の感染症危機への課題などを説明。総務省は、各都道府県等に総務省担当者が個別対応する「1対1情報共有体制」の取組などを紹介した。また、総務省が今後の審議項目の「論点」を提示。DX関係では、①デジタル障害の影響は大きく行政維持の方策が必要②統一的な事務処理・標準化は集権化の懸念を惹起する③デジタル人材の確保が必要 ― などの課題を提示。感染症関係では、入院調整や自宅療養者の生活支援が不十分、事業者・個人への要請では国と都道府県の意見相違が顕在化などの課題を挙げた上で、新たなパンデミック・大規模自然災害・安全保障上の不測の事態を前提とする必要があるなどの視点を示した。

◎マイナンバー普及率の交付税減額を否定 ― 総務省

総務省は1月23日、全国都道府県財政課長・市町村担当課長会議を開き、「2023年度の地方財政の見通し・予算編成上の留意事項」を示すとともに、地方行財政の課題等を説明した。普通交付税額の推計では道府県分、市町村分ともにプラス0.5%程度の増、包括算定経費では道府県分プラス1.0%程度、市町村分プラス3.5%程度の増とした。併せて、マイナンバーカード普及率の反映については「増額されたマイナンバーカード利活用特別分(500億円)を全ての市町村で増額算定。その上で、マイナンバーカード交付率が上位3分の1以上の市町村について割増率により算定する」もので、「交付率が低くても交付税を減らすことはない」と強調した。

このほか、①脱炭素化推進事業債を創設し、再生可能エネルギー、省エネ、電気自動車の導入等に起債と交付税で支援②物価対策で学校や福祉施設でのエネルギー代上昇に700億円の一般行政費単独を増額③定年延長開始に向け退職手当の平準化を図ったので、基金積立など平準化の取組を進めてほしい④デジタル田園都市国家構想戦略が策定されたが、従前のまち・ひと・しごと創生事業費1兆円は確保する ― などと説明した。

◎ミサイル発射のJアラート対応など特集 ― 消防白書

総務省消防庁は1月23日、2022年版の消防白書を発表した。昨年と同様、近年の大規模自然災害を踏まえた消防防災体制の整備や新型コロナ感染症対策などを特集したが、新たに昨年10~11月の北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けた対応と課題を特集した。消防庁では、Jアラートによる情報伝達とともにコンクリートなど堅ろうな建築物・地下の避難施設を指定したほか、2018年以降中断していた国と自治体共同の住民避難訓練も再開。併せて、Jアラートの送信時間を早める改善策も検討するとした。同時に、防災行政無線など住民への伝達でトラブルが発生したが、原因を電源・配線の不良や起動設定ミスなど5パターンに整理。同市町村には早急な復旧・代替手段の活用などを求めたほか、全国の市町村にもJアラート機器の緊急点検・動作確認を要請したなどの取組を紹介した。

また、消防庁は1月18日、22年版救急・救助の現況を発表した。21年中の救急出動件数は619万3,581件で前年より26万304件(4.4%)増加。搬送人員も549万1,744人で同19万7,914人(3.7%)増加した。一方、現場到達時間が全国平均で約9.4分(前年約8.9分)、病院収容所要時間は約42.8分(同40.6分)に延びた。

◎コロナ感染症の「5類」移行と対応措置決定 ― 政府

政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は1月27日、コロナ感染症を5月8日から今の「2類」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に位置付けることを決めた。また、移行に伴いこれまで講じてきた政策・措置も見直すが、うち患者等への対応と医療提供体制については3月上旬を目途に方針を示す。

また、入院・外来も原則インフルエンザなど他の疾病と同様に幅広い医療機関で受診できることになるが、段階的に移行する。なお、入院・外来の医療費自己負担分に対する公費支援は急激な負担増が生じないよう期限を区切って継続する。発生届も終了し、定点医療機関による感染動向把握に移行する。マスク着用も「個人の主体的な選択」に委ねるとした。一方、ワクチン接種は自己負担なく受けられるようにする。併せて、政府の感染症対策本部も廃止するとした。

井田 正夫 (月刊『自治総研』編集委員・委嘱研究員、元自治日報編集長)