地方自治総合研究所

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月刊『自治総研』

2023年5月中央の動き

◎会計年度任用職員にも勤勉手当支給 ― 自治法改正案

政府は3月3日、地方自治法一部改正案を閣議決定した。会計年度任用職員に対し期末手当に加え勤勉手当の支給も可能とする。国の非常勤職員との均衡を考慮した。また、全ての歳入等の収納事務(公金事務)について地方自治体の長の判断で私人への委託を可能とする。このほか、地方議会の役割・議員の職務なども明確化した。現行法では「普通地方公共団体に議会を置く」とだけ規定されているが、新たに①議事機関として議会を置く②地方公共団体の重要な意思決定の事件を議決③住民の負託を受け誠実にその職務を行わなければならない ― などの役割・職務を明記した。

一方、総務省と全国都道府県議会議長会など議会3団体は3月1日、地方議会議員の立候補環境の整備を全国商工会連合会に要請した。昨年暮れの第33次地方制度調査会答申を受けて、勤労者が地方議会議員選挙に立候補しやすいよう立候補休暇制度の創設や解雇・減給など不利益な取扱をしないこと、また、企業に勤めながら議員活動ができるよう議員との副業・兼業を可能とすることなどを要請した。

◎理系女子大学生の割合増加を ― 教育基本計画を答申

文科省の中央教育審議会は3月8日、次期教育振興基本計画(2023~27年度)を答申した。教育の方向性に「2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成」を掲げ、教育政策の目標に①グローバル社会・イノベーションを担う人材育成②地域コミュニティの基盤を支える社会教育の推進③教育DXの推進・デジタル人材の育成 ― など17目標を掲げた。さらに、その指標に「科学・数学リテラシーは世界トップレベル水準を維持」「英語力は中卒段階でCEFRのA1レベル以上を5年後6割以上に」「大学(学部)の理工系学生に占める女性割合を増加」などを示した。

また、文科省の校務の情報化専門家会議は3月8日、「GIGAスクール構想下の校務DX」をまとめた。教育ICT化環境整備5か年計画が進められているが、なお多くの自治体では教育DXや働き方改革の流れに適合していないと指摘。今後取り組むべき施策に①次世代の校務DXロードマップを示し自治体や事業者に働きかける②ICT利活用を推進する「次世代の校務DXガイドライン」の策定③「教育情報セキュリティポリシーガイドライン」の改訂 ― などを提言した。

◎感染症5類移行で都道府県が「移行計画」 ― 政府

政府は3月10日、新型コロナウイルスの5類移行に伴う医療体制と公費支援の見直しを決めた。医療提供体制では、入院措置原則から通常の対応に移行するため各都道府県が「移行計画」を策定し医療機関の維持・拡大を進めるとともに、3月から取り組む外来、入院、入院調整、自宅療養者などへの対応を示した。また、医療費も5月8日から原則自己負担とするが、急激な負担増回避のため一定の公費負担を9月末まで継続する。このほか、5類移行後も名称「新型コロナウイルス感染症」を用いる方針を決めた。

一方、全国知事会は同日、位置付け変更後も引き続き感染継続が見込まれるとし、①対応する医療機関拡大について政府が責任をもって都道府県を支援②医療機関の設備整備への財政支援と感染症特性に応じた看護・入院調整③高齢者施設等の感染対策 ― など新たな対応体制の構築に向けた環境整備を要請した。

◎自治体の太陽光発電設備の導入推進へ ― 環境省

環境省は3月14日、第三者所有による太陽光発電設備導入の自治体職員向け手引を作成した。政府は、脱炭素社会実現に向け国・自治体は建築物等に太陽光発電設備を2030年に50%、40年には100%の導入を目指す(地域脱炭素ロードマップ)としている。発電設備導入には、公共施設の屋根や公有地に自治体自らが設置する「自己所有」と事業者が設置・所有・管理する「第三者所有」があるが、手引はそれぞれのメリット・デメリットを紹介したうえで、導入手法の検討から導入施設の選定、公募資料の準備、事業者選定のポイントと契約の注意点、導入に必要な業務などを解説した。さらに、PPA(第三者所有型)編、リース編、屋根貸編など具体的な導入フローも紹介している。

また、環境省は3月22~24日、北海道で気候変動適応全国大会を開催した。基調講演「サステナブルファイナンスと気候変動適応」(水口剛高崎経済大学学長)に続き、「気候変動による世界の食糧生産への影響と適応」「気候変動との付合い方 ― 葡萄栽培など」「気候変動適応策 ― 那須塩原市・豊田市」「気候変動の北海道の取組」などの講演・事例紹介が行われた。

◎都道府県の女性の管理職は13% ― 内閣府

内閣府は3月16日、都道府県別全国女性の参画マップを公表した。都道府県議会の女性議員(2021年12月末)は306人(12%)で、割合は東京(32%)、京都(22%)で高く、山梨、熊本、大分の3県は5%未満。市区議会の女性議員の割合は18%で、うち東京が31%と高く、長崎・熊本・大分の各県は10%を割る。町村議会は12%で、大阪31%、神奈川26%で高く、山梨・島根・富山など16県は10%未満だった。さらに、女性議員ゼロの市町村議会が275議会あり、青森・奈良・福島の3県ではゼロ議会の市町村が3割も占める。

また、審議会等の委員に占める女性の割合は、都道府県は34%で、徳島の51%をトップに、鳥取・島根・岐阜の各県も40%台と高く、逆に秋田や山梨・神奈川など7県では30%を割る。このほか、都道府県の女性管理職(22年度)は4,885人(13%)で、その割合は鳥取の23%をトップに岐阜、東京、福井などで高く、秋田や山口、宮崎など13府県では10%を割っている。

◎インフラメンテナンスに包括的民間委託を ― 国交省

国交省は3月22日、インフラメンテナンスにおける包括的民間委託導入の手引を発表した。包括的民間委託は、受託した民間事業者が創意工夫、ノウハウを活用できるよう複数の業務や施設を包括的に委託するもので、発注者にはまとめて発注することで発注作業の効率化・業務負担が軽減され、民間事業者には公募型プロポーザル方式や複数年契約の採用などで経営の見通しを立てやすくなるなどのメリットを示した。そのうえで、導入プロセスでは導入可能性調査・業務発注・業務実施の各段階ごとの手順などを示した。また、同省は地域ブロックごとの説明会の開催を予定している。なお、インフラ維持管理の包括的民間委託は374自治体(2021年4月)で導入されている。

一方、政府は3月3日、空家等対策特別措置法改正案を閣議決定した。所有者の責務に現行の適切な管理努力義務に加え国・自治体の施策協力の努力義務を追加。このほか、①市区町村長は放置すれば特定空家等となる空家を管理不全空家として指導・勧告②同敷地は固定資産税の住宅用地特例を解除③市区町村長に特定空家等の所有者への報告徴収権を付与し緊急代執行制度を創設 ― などを盛り込んでいる。

◎非常勤の給与改定の取扱を常勤並みに ― 人事院

人事院は3月22日、非常勤職員の給与に関する指針を改正した。常勤職員の給与が改定された場合、非常勤職員についても常勤職の取扱に準じて改定するとした。これまで常勤職の給与改定は4月にさかのぼって改定されるが、非常勤職員の扱いは明確な規定がなく各府省により対応が異なっていた。人事院は「指針改正後も各府省に対する指導を行い、指針に沿った給与支給がなされるよう対応する」としている。

一方、厚労省の労働政策審議会の労働政策基本部会は3月31日、報告書「加速する経済・社会の変化の中での労働政策の課題~生産性と働きがいのある多様な働き方に向けて」をまとめた。企業が成長するには新技術を労働者が身に着ける必要があるとし、経営者・労働者の全レベルでリスキリングに取り組む必要があると指摘。併せて、非正規労働者を含む全ての労働者に労働条件の改善・キャリア形成につながる能力向上の機会確保が必要だとした。さらに、女性や高齢者など多様な人材が能力を発揮できる税制・社会保障制度の構築やキャリア形成に向けた支援も求めた。

◎災害では人命救助優先で氏名公表を要請 ― 内閣府

内閣府は3月24日、「防災分野における個人情報の取扱に関する指針」を公表した。災害時の個人情報の公開ではプライバシー保護の観点から各自治体により対応が異なるため、過去の災害時の個人情報の取扱事例を踏まえ、各自治体の判断に資するよう作成した。具体的には、「災害当初の72時間が人命救助では極めて重要な時間であり、積極的な個人情報の活用を検討すべきである」とし、家族等の了解がなくても氏名を公表すべきだと明記した。関東・東北豪雨(2015年)の鬼怒川決壊では市が不明15人の氏名を公表せず、全員無事が確認されるまで捜索活動が続けられた一方、西日本豪雨(18年)では県が安否不明者43人の氏名を公表したことで情報が集まり6時間後には不明者が18人に減った。なお、配偶者からの暴力(DV)やストーカー行為の被害者等には十分な配慮が必要だとした。

一方、総務省消防庁は3月1日、「救助人材育成報告書」「救助人材育成ガイドライン」「訓練効果を高めるための救助訓練指導マニュアル」を発表した。火災件数が減少する中、救助件数が増加し活動内容も多様化しているとして、消防庁に対し全国の救助隊育成の実態と課題・ニーズの把握や「ガイドライン」「マニュアル」の活用・周知を、全国の消防本部には救助隊長育成の組織的な支援体制の構築などを求めた。

◎経常収支比率が88%に低下 ― 2023年版地財白書

総務省は3月24日、2023年版の地方財政白書を公表した。21年度の地方財政決算(通常収支分)は、歳入127兆1,431億円、歳出122兆4,000億円で、前年度に比べそれぞれ1兆452億円(0.8%)減、1兆5,385億円(1.2%)減となった。歳入では、地方交付税が前年度比2兆5,159億円増えたが、特別定額給付金給付事業費補助金減などで国庫支出金が同5兆3,841億円減少。歳出では、特別定額給付金事業の終了により補助費が同8兆287億円減少した一方、新型コロナ感染症対策の事業費増により扶助費が同3兆1,333億円増加した。経常収支比率は88.1%で同5.7ポイント低下し90%台を下回った。実質公債費比率も7.6%で同0.2ポイント低下した。将来の財政負担(借入金残高)は190兆9,546億円で、同1兆4,082億円(0.7%)減少した。

また、総務省は3月22日、2022年度の特別交付税交付額を発表した。交付額は道府県分1,587億円(前年度比6.2%増)、市町村分9,545億円(同3.2%増)の合計1兆1,131億円(同3.6%増)。鳥インフルエンザまん延を踏まえ過去最大の60億円を措置したほか、今冬の豪雪で除排雪経費を654億円、大雨や台風などの災害関連経費に571億円を措置。また、ふるさと納税の収入が不交付団体を上回った4団体で減額した。

井田 正夫 (月刊『自治総研』編集委員・委嘱研究員、元自治日報編集長)