地方自治総合研究所

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月刊『自治総研』

2023年6月中央の動き

◎郵便局を防災拠点や交流拠点に活用を ― 総務省

総務省は3月31日、郵便局を活用した地域活性化方策を発表した。全国約2万4,000の郵便局窓口と日々郵便物配達などを行う郵便局の強みを地域活性化に活かす具体策として、①消防団への加入促進②自主防災組織等との連携③集落の課題解決の取組への郵便局員の参画 ― などを提案。また、局舎を指定緊急避難場所・津波避難ビル等に指定、災害時の車両・バイク等の活用、備蓄物資の保管・災害時の避難所への配送などを示した。さらに、生活支援として①郵便局と連携した買物支援サービス②自宅に置いたスマートスピーカーを活用した見まもりサービス③空き家対策④高齢者や子育て世代等のサロン⑤「郵便局デジタル地図プラットフォーム」を通じ自治体に対する事故頻発地点や道路損傷箇所の情報提供 ― などを提案した。

◎こども施策を統合し「こども家庭庁」が発足 ― 政府

「こども家庭庁」が4月1日発足した。これまで内閣府・厚労省・文科省に分かれていたこども施策を総合的に推進する。文科省の幼児教育などは統合から外れた。組織は、「長官官房」「成育局」「支援局」の1官房2局体制で、定員は350人。長官官房では、こども大綱の策定など、成育局では妊娠・出産支援など成育医療等基本方針の策定、就学指針・保育所保育指針の策定など、支援局では困難を抱えるこども・家庭の支援や児童虐待防止対策、こどもの貧困対策、ひとり親家庭の支援などを担う。

なお、全国知事会など執行3団体は3月14日、「こども家庭庁創設を踏まえたこども政策の充実に向けて」を発表した。「次元の異なる少子化対策に期待している」とした上で、①子ども関連予算を国際的に遜色ない水準へ倍増実現②自治体ごとの地域間格差が生じないよう安定財源を確保し、児童手当だけでなく全ての子育て家庭に資する全国一律の制度構築③小学生以上の医療費助成への国民健康保険国庫負担金の減額調整措置は直ちに全廃④幼児教育・保育の完全無償化の実現 ― などを要請した。

◎労働者協同組合が法施行半年で34法人設立 ― 厚労省

厚労省は4月3日、労働者協同組合の設立状況を発表した。同組合は、労働者が組合員として出資し、その意見を反映して自らその事業に従事する組織で、関係法が半年前の昨年10月に施行された。今年4月1日現在、1都1道、1府(大阪)、15県(千葉、埼玉、神奈川、山梨、長野、愛知、三重、兵庫、島根、山口、高知、福岡、熊本、鹿児島、沖縄)で合計34法人が設立された。企業組合からの組織変更が8法人、NPO法人からの組織変更が1法人、新規設立が25法人。

主な分野は、キャンプ場経営や一般貨物自動車運送、地元産鮮魚販売、給食のお弁当づくり、高齢者介護、生活困窮者支援、家事代行、子育て支援、清掃・建物管理など多岐にわたる。具体的には、「CampingSpecialist」(四日市市)では放置された荒廃山林を整備しキャンプ場を経営、「かりまた共働組合」(宮古島市)では自治会を母体にした様々な事業を継続するために法人化。「ワーカーズコープちば」(船橋市)では生活困窮者支援を通じた地域づくり、「こども編集部」(神戸市)では子どもによる様々なメディアの制作体験に取り組んでいる。

◎地域おこし協力隊の隊員数が過去最多に ― 総務省

総務省は4月4日、2022年度の地域おこし協力隊の活動状況を発表した。隊員数は6,447人で前年より432人増加、受入自治体も1,118団体で同31団体増加し、いずれも過去最多となった。隊員のうち女性41%、男性59%で、年齢は20~29歳、30~39歳が各34%で多いが、50~59歳も8%いる。また、任期終了した隊員は累計9,656人。うち定住者は6,318人で、前年より約1.2倍増えた。定住者の53%が同一市町村、12%が近隣市町村に定住、21%は他の地域に転出した。同一市町村内に定住した隊員のうち42%が古民家カフェや観光業などを起業したほか、39%が自治体職員や観光業などに就業、12%は就農・就林した。

また、同省はこのほど、地域運営組織の実態把握調査をまとめた。2022年度の地域運営組織は全国で7,207団体あり、前年度より1,143団体増えた。うち、法人格のない任意団体が91%で、78%は自治会・町内会が構成員だった。祭り・運動会・音楽会(68%)、交流事業(67%)、健康づくり(60%)などを実施。収入は市町村の助成金等が84%で最も多い。

◎次期国土強靱化計画はデジタルと地域力を柱 ― 政府

政府の国土強靱化推進本部は4月7日、新たな国土強靱化基本計画骨子案を了承した。今年夏にも新たな基本計画を策定する。骨子案は、基本目標に①人命の保護②国家・社会の重要機能の維持③国民の財産・公共施設の被害最小化④迅速な復旧復興 ― を掲げた。その上で、国土強靱化推進の基本方針に防災インフラの整備・管理や交通・通信・エネルギーなどライフラインの強靱化を挙げた。さらに、デジタル技術活用による国土強靱化の高度化、事業継続性確保など官民連携の強化、地域の防災力強化を国土形成計画と連動して進めるとした。

また、総務省は4月25日、災害時の道路啓開の実態調査結果を発表した。東日本大震災の教訓を踏まえ関係機関で道路啓開計画を策定し合意するとされ、関東や中部、四国など大規模災害の想定地域では国が計画を策定し各自治体も独自計画を策定していたが、北陸や近畿では同計画の未策定が多かった。このため、国交省に対し各自治体と協議会等を設置し道路啓開計画の策定を進めるほか、民間事業者が災害発生時に人員・資機材を確保するなどの取組を促すよう勧告した。

◎日本人人口の減少幅が11年連続拡大 ― 総務省

総務省は4月12日、我が国の人口推計を発表した。2022年10月1日現在の総人口は1億2,494万7千人で、1年間で55万6千人(0.44%)の減となった。うち日本人人口は1億2,203万1千人で同75万人(0.61%)減少、その減少幅は11年連続で拡大した。また、出生児数は79万9千人で前年比3万2千人減少、死亡者数は153万人で同9万人増加。この結果、73万1千人の自然減となった。年齢別では、15歳未満が1,450万3千人(総人口比11.6%)で同28万2千人減少、15歳~64歳も7,420万8千人(同59.4%)で同29万6千人減少する中、65歳以上は3,623万6千人(同29.0%)で同2万2千人増加。うち、75歳以上人口は1,936万4千人(同15.5%)で同69万1千人増加した。

都道府県別にみると、増加は前年の減から増に転じた東京(前年比0.20%増)のみで、沖縄は前年の増加から減少に転じた。秋田や青森、岩手など14県では1%以上の減少。なお、東京は自然減少・社会増加で増に転じたが、他は全て自然減。また、15歳未満の割合は沖縄の16.3%をトップに滋賀・佐賀の13.2%などで高いが、全ての都道府県で前年より低下。65歳以上の割合は秋田の38.6%をトップに33道県で30%以上。対前年増減率は21道県で増加、26都府県で減少した。

◎教師の時間外勤務手当創設など検討へ ― 文科省

文科省の教師確保のための環境の在り方調査研究会は4月13日、「論点整理」を審議した。「論点」は、教師の処遇改善や勤務制度、働き方改革、学校の指導・運営体制の充実の在り方を一体的・総合的に検討すべきだと指摘。その具体策では、時間外勤務手当の代わりに一律支給する現行の教職調整額について支給率や新たな手当創設などの検討を求めた。また、①教師が柔軟に勤務できる勤務制度の見直し②「学校・教師が担う業務に係る3分類」の在り方改善③学級編成・教職員配置の柔軟な仕組への見直し④教員業務支援員など支援スタッフの充実 ― などを挙げた。今後、中央教育審議会で法改正を含め審議する。

一方・国交省は4月3日、2022年度のテレワーク人口実態調査結果を発表した。雇用型就業者のテレワーカーの割合は全国で26%、前年度比0.9ポイント減だった。勤務地別では首都圏は2.3ポイント減少したが前年度と同様40%の水準を維持。地方都市圏は0.3ポイント増加したが、18%にとどまる。なお、雇用型テレワーカーのうち87%は継続意向を持っていた。

◎土地利用コントロール導入など提言 ― 国交省

国交省の都市計画基本問題小委員会は4月14日、「多様な価値観や社会の変化を包摂するまちづくりを目指して」と題する「中間とりまとめ」を決めた。

今後の都市政策には、人口減・少子高齢化や気候変動とコロナ禍を契機としたライフスタイルの変化を踏まえた対応が求められると指摘。都市構造の検討では、日常生活の身近なエリアの魅力向上に向け公共交通軸の確保とまちづくりの取組連携、市街地内の魅力向上に加え市街地外も含めた市町村域全体に目配りした土地利用コントロールの導入を提案。併せて、広域的観点から都道府県による市町村のサポート、国土形成計画等と整合を図った都市構造を目指すよう求めた。身近なエリアの魅力向上では、エリアマネジメント団体等が事業性を確保できる制度の柔軟化と、市街地整備事業完了後の施行区域の継続的なエリアマネジメントが維持される取組が必要だとした。さらに、社会変化に対応した柔軟なまちづくりのため、①都市施設の再構築に向けた制度の効果的活用②時間軸を踏まえた立地適正化計画の柔軟な運用③市街地整備事業の円滑化に向けた運用改善 ― を提言した。

◎「基本大綱」策定へこども家庭審議会が発足 ― 政府

政府は4月21日、こども家庭審議会の初会合を開いた。首相の諮問「今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針・重要事項」を審議、年内にも「基本大綱」を策定する。併せて、部会に「基本政策」「幼児期までのこどもの育ち」「こどもの居場所」「社会的養育・家庭支援」「児童虐待防止対策」「障害児支援」「こどもの貧困対策・ひとり親家庭支援」などの設置も決めた。

一方、政府は3月31日、少子化対策の「たたき台」を発表した。2030年代に入るまでの今後6~7年が少子化傾向を反転させるラストチャンスだとし、今後3年間を集中取組期間として「加速化プラン」に取り組むとした。その具体策に、①児童手当は所得制限を撤廃、支給期間を高校卒業まで延長②自治体実施の子ども医療費助成に対する国民健康保険の減額措置廃止③学校給食無償化の課題整理④保育士配置基準を1歳は「子ども5人に保育士1人」、4~5歳児は「25人に1人」に改善⑤親の就労要件を問わず時間単位で利用できる「こども誰でも通園制度(仮称)」創設の検討 ― などを掲げた。これを受けて、政府は4月7日、「こども未来戦略会議」を発足させた。こども・子育て政策の強化のための具体的な施策内容や予算・財源のあり方などを検討する。

井田 正夫 (月刊『自治総研』編集委員・委嘱研究員、元自治日報編集長)