地方自治総合研究所

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月刊『自治総研』

2023年9月中央の動き

◎児童のいる世帯の割合が18%と過去最少に ― 厚労省

厚労省は7月4日、2022年の国民生活基礎調査を公表した。児童のいる世帯は991万7千世帯(19年1,122万1千世帯)で、全世帯の18.3%(同21.7%)と過去最少となった。なお、単独世帯は1,785万2千世帯(全世帯の32.9%)、高齢者世帯は1,693万1千世帯(同31.2%)で、いずれも過去最多になった。また、子どもの貧困率は11.5%(同14.0%)で2.5ポイント低下した。このほか、主な介護者が要介護者等と同居している割合は45.9%(同54.4%)と低下したが、同居の介護者と要介護者等がいずれも65歳以上の割合は63.5%(同59.7%)と上昇している。

また、総務省は7月21日、2022年の就業構造基本調査を発表した。有業者は6,706万人で、5年前と比べ85万人増加。無業者は4,313万人で、同163万人減少した。有業率は60.9%で、同1.2ポイント上昇。また、副業がある者(非農林業従事者)は305万人で、同60万人増加。現在の仕事を続けながら他の仕事もしたいと思っている追加就業希望者は493万人で、同93万人増加した。本業がフリーランスは209万人で、有業者の3.1%だった。このほか、育児をしている者は965万人、うち有業者は821万人(85.2%)で、同5.9ポイント上昇。また、介護をしている者は692万人、うち有業者は365万人(58.0%)で、同2.8ポイント上昇。

◎公共サービス改革の基本方針に10事業追加 ― 総務省

総務省は7月4日、公共サービス改革基本方針の変更を公表した。本文で「人手不足や物価上昇等への対応としてリモートワーク拡充や新技術の活用による対象公共サービスの効率的な実施」で担い手の安定的な確保につなげる旨を記載。また、新規対象事業に①行政情報ネットワークシステム関連業務3事業②施設管理・運営業務5事業 ― など計10事業を追加。

また、総務省は7月10日、内部統制制度の運用上の課題に関する研究会を発足させた。自治体の内部統制強化は、これまで議会や監査制度などの監視機能強化を中心に進められ、2019年には内部統制制度の導入・実施ガイドラインを作成、都道府県・指定都市に制度導入を義務付けたが、なお内部統制の法制化の必要性なども指摘されている。このため、検討会では地方自治法改正による制度化も見据えて自治体の内部統制の整備・運用の具体的なあり方を検討する。

◎高齢者の見守り活動の創意工夫事例を紹介 ― 総務省

総務省は7月14日、一人暮らし高齢者の見守り活動の調査結果を発表した。一人暮らし高齢者の孤立が増加する中、コロナ感染拡大で対面の見守り活動が制限される課題も生じているが、多くの自治体が見守り活動の担い手不足の中、地域住民や関係機関との連携・協力、情報の共有、デジタルツールの活用などの創意工夫で見守り活動を実施していることが分かった。具体的には、①宅配事業など52民間事業所と協定し異変を町に連絡(福岡県福智町)②町内会の活動と併せ大学生等が体力診断・レクリエーションを実施(北海道厚沢部町)③見守り訪問を電話・はがきに切り替え(福岡市) ― などの取組が実施されている。

一方、厚労省の社会保障審議会介護保険部会は7月10日の会合で第9期介護保険事業計画(2024~26年度)の基本指針案を審議した。期間中に団塊の世代全員が75歳以上となる一方、生産年齢人口が急減。このため、次期計画で充実すべき事項に①介護サービス基盤の計画的確保②「支える側」「支えられる側」の関係を超えた総合事業の充実③認知症高齢者やヤングケアラーを含む家族介護者の支援 ― などを挙げた。

◎教育委員会会議の議論活性化など提言 ― 文科省

文科省の研究会は7月18日、「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政充実の報告書をまとめた。教育委員会の機能強化・活性化では、①教育委員会会議の議論活性化と地域に開かれた会議運営②様々なバックグラウンドに応じた教育長の選任と教育長を担う人材の中長期的な育成③指導主事の資質・能力向上に向けた研修やマニュアル作成 ― などを提言。また、首長との連携のあり方では①一般行政職と教員籍職員の業務内容・分担の見直し②災害発生時の総合教育会議開催など首長間で共通認識を共有③ふるさと納税など外部資金で学校予算の裁量拡大 ― などを提言した。

また、同省は6月28日、地方教育費調査を公表した。2021年度の地方教育費総額は16兆2,056億円(前年度比3.5%減)で、うち学校教育費は13兆6,358億円(同3.7%減)、社会教育費は1兆5,071億円(同0.5%減)。財源別では、国庫補助金が1兆8,465億円(同11.6%減)、地方債が6,572億円(同14.0%減)。支出項目別にみると人件費や教育活動費など消費的支出は11兆2,164億円(同1.1%減)、設備・備品費など資本的支出は1兆6,205億円(同18.8%減)。

◎外国資本による森林取得が14件・41㌶ ― 農水省

農水省は7月18日、2022年の外国法人・資本による農地・森林取得の調査結果を発表した。外国法人・外国人による農地取得はゼロだが、外国法人・外国人が議決権を有する法人・役員となっている法人による農地取得は1件(西条市、0.1㌶)。また、外国資本による森林取得は合計14件、41㌶あった。北海道が9件、37㌶と多く、うち北見市10㌶(取得者・米国)、蘭越町8㌶(香港)、旭川市7㌶(シンガポール)、倶知安町7㌶(英領バージン諸島)、富良野市4㌶(シンガポール)など1件当たりの規模も大きい。このほか、国内の外資系企業による森林取得が20件、70㌶あった。

一方、林野庁は7月25日、民有林の無断伐採の都道府県調査結果を発表した。2022年の情報提供や相談等は72件あり、うち伐採業者や伐採仲介業者等が故意に伐採した疑いのあるものが14件、うち2件は木材の利用や販売を目的にしていた。

◎不登校で児童等の半数が「相談しづらい」 ― 総務省

総務省は7月21日、不登校・ひきこもり支援の政策評価結果を発表した。小中学校の不登校が増加し2021年には24.5万人と過去最高となったが、全学校で整備している相談体制について児童生徒の51%、保護者の35%が「相談しづらい」と回答。また、国の方針「学校への登校のみを目標にしない」も保護者の6割は知らず、「知っていれば学校以外の支援先を選択した可能性もある」とした。このため、文科省に①個々の児童生徒・保護者の状況に応じ相談しやすい環境を整える②児童生徒・保護者が求める支援内容を把握し民間施設の情報や相談できる環境の提供 ― などを求めた。

また、総務省は7月7日、河川の陸閘の管理・運用の実態調査を発表した。陸閘は洪水時に閉鎖して堤防となるもので、全国に約2,500基ある。東日本大震災では多数の操作員が犠牲になったが、運用ルールに災害時の「避難を優先」の規定がないものが40%あった。このため、国交省に①操作を安全にできない場合は閉鎖が未完了でも避難優先を運用ルールに明確化②第三者への損害は河川管理者が責任を負う運用ルールの明確化③利用状況から廃止も検討 ― などを勧告した。

◎概算要求基準の特別枠に4兆2,000億円 ― 政府

政府は7月25日、2024年度予算の概算要求基準を決めた。年金・医療等は自然増(5,200億円)の加算を認めるほか、義務的経費は前年度当初予算の範囲内で、地方交付税は新経済・財政再生計画の整合性に留意し要求。重要政策推進枠では、構造的賃上げ・官民連携の投資拡大や少子化対策・こども政策の抜本強化、防衛力強化などを対象に総額約4兆2,000億円を認める。同日の経済財政諮問会議で岸田首相は「コロナ禍を脱し経済を正常化させる中、歳出構造を平時に戻すとともに未来への投資拡大・構造的賃上げ実現に向け新しい資本主義の取組をさらに加速する」と述べた。

これを受けて総務省は同日、2024年度の地方財政措置合計31件を各府省に申し入れた。概算要求に当たり留意すべき事項として、こども・子育て政策では地方の意見を踏まえ検討するとともに「加速化プラン」の取組では地方負担分も含め所要財源の確保を要請。このほか、①物価高対応では地方の意見を踏まえるとともに補助単価を見直す②防災・減災対策・国土強靭化施策では所要財源を確保③教員の処遇見直・少人数学級の計画的整備では所要財源を確保④障害福祉サービスでは超過負担が生じており国庫負担基準の見直しなど所要国費を確保 ― などを申し入れた。

◎子ども・子育て社会で決議採択 ― 全国知事会議

全国知事会は7月25~26日、山梨県内で全国知事会議を開き、子ども・子育てにやさしい社会実現の決議・要望などを決めた。また、松本総務相との意見交換でマイナンバー総点検に関し①自治体の過度な負担としない②現場の声に寄り添い実施 ― などを要請。松本氏は「関係省庁が連携、地方の声を聞きながら信頼確保に向け対応したい」と応じた。子ども・子育ての決議では、①多様な働き方や妊娠・子育ての両立を実現する労働・雇用環境の整備②出会いから子育てのライフステージを通じた経済的支援 ― などを要請。このほか、地方税財源の確保・充実、地方分権改革の推進、ジェンダー平等の実現、脱炭素社会の実現、大規模災害への対応力強化などを求める要望。

また、全国都道府県議会議長会は7月18日、都内で創立100周年記念式典を開催した。岸田首相らの祝辞に続き議長や関係者に感謝状を贈呈。併せて、「創立100周年宣言」で①議会の関心を高め・理解を深める取組強化②デジタルツール活用など住民に開かれた議会への取組強化③女性や若者、勤労者など多様な人材が参画できる環境整備 ― などの取組を進めるとした。このほか、全国町村議会議長会は7月19日、「町村議会議員のなり手不足対策検討会」を設置した。

◎日本人住民が14年連続の減少に ― 23年の住基人口

総務省は7月26日、2023年1月1日現在の住民基本台帳人口を発表した。日本人住民は1億2,242万3,038人で、前年より80万523人(0.65%)減少した。14年連続の減少で、減少数・減少率ともに過去最大。外国人住民は299万3,839人で同28万9,498人(10.70%)増加した。3年ぶりの増。また、日本人の出生者数は77万1,801人で調査開始(1979年)以降の最少となった一方、死亡者数は156万5,125人と同最多を更新。自然増減数は79万3,324人の自然減となった。都道府県別では、沖縄が初めて減少に転じ、全団体で人口減となった。また、市区部人口は1億1,215万9,514人で、前年比66万7,010人減少(0.59%)。町村部人口は1,026万3,524人で、同13万3,513人減少(1.28%)した。なお、市区部では743団体(91.2%)、町村部では866団体(92.9%)で人口が減少している。

これをもとに「1票の格差」を試算すると、衆院選挙区では「10増10減」の区割り見直し後も福岡5区、京都6区、福岡3区、茨城6区で格差2倍を超える。

井田 正夫 (月刊『自治総研』編集委員・委嘱研究員、元自治日報編集長)