地方自治総合研究所

MENU
月刊『自治総研』

2024年1月中央の動き

◎ポストコロナの医療体制で5.1万床確保 ― 厚労省

厚労省は11月6日、「ポストコロナ医療体制充実宣言」をまとめ公表した。次の感染症拡大に向け①病院・診療所は都道府県との協議結果を踏まえ病床確保や発熱外来を行う協定締結医療機関となり新興感染症対応に参画②2024年4月までに策定される都道府県の予防計画・医療計画の初期体制として1.9万床の確保病床、1,500機関の発熱外来、それ以降の体制として5.1万床の確保病床、4.2万機関の発熱外来を確保③全国の医療機関・薬局・訪問看護ステーションで国民一人一人の診療情報を全国的規模で共有可能とする全国医療情報プラットフォームを構築 ― などを宣言した。

一方、厚労省は11月1日、社会保障教育検討会を発足させた。同省は、2021年に社会保障教育の指導者用マニュアルを作成、22年には全世代型社会保障構築会議が社会保障教育の一層の推進を提言した。検討会では、これを受けて①授業で活用できる資料追加など指導者用マニュアルの改訂②「地域共生社会の実現」の観点から社会保険料控除の資料追加など内容の充実 ― などを検討。年度内に新規修正資料を作成し、来年度から改定版マニュアルでの授業を開始する。

◎成り手不足対策などで討論 ― 地方議会活性化シンポ

総務省主催の地方議会活性化シンポジウムが11月13日、「将来の地方議会を担うのは誰か? ― 多様な人材が参画する地方議会の現実」をテーマに都内で開催された。基調講演で谷口尚子慶応大学教授が、我が国の地方議会の課題に①投票率の低下②無投票当選の増加③男女比率や年齢構成の偏り ― を挙げ、「個々の議員には競争相手が増えるが、議会・議員の多様性を高める必要がある」と指摘。併せて、①広報活動や主権者教育など住民の理解・関心を高める②立候補のハードルを下げる③活動スタイルの柔軟化やオンライン化など議会活動を変える ― などを提案した。

また、パネルディスカッションでは、「2回の無投票当選を踏まえ議員の成り手不足対策で『議員の学校』を実施」(鵜川和彦北海道栗山町議長)、「大学生とのシチズンシップ・アカデミーや高校への議員訪問」(狩野浩志群馬県議員)、「明治大学とのパートナーシップ協定で政策課題等のアドバイスを受ける」(菅沼芳徳御殿場市議長)、「女性が議員になるには最初の一歩が踏み出せない。挑戦しやすい環境が必要」(益子純恵栃木県那珂川町議長)などの取組が紹介され、コーディネータの只野雅人一橋大学教授が「制度を変えることも重要だが、今の仕組みでもできることが多いことが分かった」と締めくくった。

◎少子化や減税対応で意見交換 ― 政府主催知事会議

政府は11月13日、政府主催の全国知事会議を首相官邸で開催した。冒頭、岸田首相は総合経済対策を盛り込んだ補正予算の早期成立を目指すとともに「少子化は先送りできない課題。年末に法制度の具体化を進めるが、都道府県と連携を密にしたい」と述べた。

これを受けて、参加知事から「所得税減税による地方交付税減収の補てんと来年度の一般財源総額の確保を」(村井知事会長)、「医療や保育、教育費の無償化などの経済的支援の強化、保育・教育の質向上と体制充実」(三日月滋賀県知事)、「賃上げが持続的に可能となる環境整備」(伊原木岡山県知事)、「危機管理統括庁が(感染症対策を)行うにあたり実務の声が反映されるよう体制整備」(平井鳥取県知事)、「来年度から会計年度任用職員の手当支給が必要となるので一般財源総額の増額を」(河野宮崎県知事)、「鉄道ネットワークの充実強化を」(吉村山形県知事)、「カーボンニュートラル実現に向け予算規模の拡充を」(福田栃木県知事)などの意見が出て、岸田首相がそれぞれに対応する意向を示した。

◎自治体保有の空家等の民活活用へ検討会 ― 国交省

国交省は11月14日、スモールコンセッション推進方策検討会を発足させた。人口減少などから全国各地で自治体が取得・保有する空家や遊休公的不動産の増加が予想されるが、2023年6月に決定された「PPP/PFI推進アクションプラン2023年改定版」の新分野に自治体が取得・所有する空家等の既存ストックを活用した小規模なコンセッション事業が対象となった。これを受けて、検討会ではスモールコンセッションの普及を目的に気運醸成や取り組みやすい環境整備などの推進方策を検討する。また、同省は12月12日に2023年度コンセッション事業推進セミナーを開催する。

一方、政府は11月17日、2023年6月に公布された空家対策等推進特別措置法の施行日を12月13日とすることを決めた。なお、国交省調査(2023年3月31日時点)によると、空家対策計画は1,450市区町村(83%)で策定、法定協議会は992市区町村(57%)で設置されていた。また、22年度末までに特定空家等措置が4万1,476件で講じられ、うち勧告が3,078件、命令が382件、行政代執行が180件、略式代執行が415件だった。

◎提案方式の幼保連携など146件で対応 ― 分権会議

内閣府の地方分権改革有識者会議は11月16日、2023年の地方からの提案に対する「対応方針」を了承した。政府は年内に閣議決定し、関係法案を次期通常国会に提出する。23年の提案230件のうち176件について関係府省と調整、146件で対応する。具体的には、地方公務員の地域貢献従事の特別休暇を各自治体の裁量で創設できることの明確化、幼保連携型認定こども園の保育教諭等確保の特例措置延長、里帰出産での住所地自治体と里帰先自治体との情報共有の仕組構築、妊産婦健康診査の受診票の統一、管理栄養士国家試験の受験要件の見直し、生産緑地法の買取申出と公有地拡大推進法の届出の重複手続の合理化などが盛り込まれた。

また、同会議は「地方分権改革の今後の方向性 ― 提案募集方式の導入以後10年の総括と展望」をまとめた。地方分権改革決議から「提案募集方式」導入までの経緯を紹介した上で、課題として①提案団体は増加しているが町村では全体の3割にとどまる②住民の声に依拠した提案に至っていない ― などを挙げ、提案募集方式のグレードアップの必要性を強調した。

◎移住相談窓口での受付件数が過去最多に ― 総務省

総務省は11月17日、2022年度の移住相談の調査結果を発表した。各都道府県・市町村の移住相談窓口等で受け付けた相談件数は約37万300件で、前年度より約4万6,300件増加し過去最多となった。うち、窓口が約30万5,000件、イベントが約6万5,300件で、前年度に比べそれぞれ約1万9,500件、約2万6,800件増えた。都道府県別では、長野の約1万8,200件をトップに兵庫約1万7,900件、福島約1万7,200件、北海道約1万5,500件、静岡約1万3,500件で多い。

また、各都道府県が設置している常設の移住相談窓口は全体で176箇所あり、前年度より10箇所増えた。設置場所は首都圏の70箇所が最も多く、近畿圏は27箇所。なお、今回の調査結果で相談件数が過去最大となった背景について、各都道府県では①コロナ禍を契機とした全国的な地方移住への関心の高まり②行動制限の緩和等によりイベント等の対面実施やオンラインとリアルを組み合わせたハイブリッド方式でのイベント等の開催③テレワークの普及等で「転職なき移住」への関心の高まり ― などを挙げている。

◎被災自治体の復旧・復興に319人が派遣 ― 総務省

総務省は11月17日、被災自治体への地方公務員の中長期派遣状況(2023年4月1日時点)を発表した。東日本大震災以降の大規模災害の復旧・復興に対し全国の自治体から319人が派遣されている。前年に比べ110人減った。派遣元は都道府県が223人(70%)、市町村が69人、政令市が27人。派遣先は市町村が256人(80%)、都道府県が59人など。職種別派遣人数は一般事務116人(36%)、土木114人、農業土木38人で多い。災害別にみると、東日本大震災には15都府県から154人、6政令市から11人、19市町村から26人が派遣。このほか、平成28年熊本地震に23人、平成29年7月九州北部豪雨に10人、平成30年7月豪雨に2人、令和元年東日本台風に9人、令和2年7月豪雨に50人、令和4年8月豪雨に15人それぞれ派遣されている。

また、被災自治体で復旧・復興のために採用され在職している任期付職員数は802人で、前年より201人減った。団体別では都道府県426人、市町村375人など。うち30人は県で採用され県内市町村に派遣。このほか、民間企業等から派遣され地方公務員に採用(今年度)された従業員数は28人(前年度比5人増)いる。

◎自治体こども計画の策定支援など答申案 ― 内閣府

内閣府のこども家庭審議会は11月22日、こども大綱策定に向けた答申案をまとめた。これを受けて政府は、年内に「こども大綱」を閣議決定する。同大綱は、少子化社会対策基本法など3基本法を一つに束ね今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針や重要事項を定めるもの。答申案は、こども大綱が目指す「こどもまんなか社会」を「全てのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる社会」と位置付けた上で、こども施策の重要事項に①こどもの貧困対策と児童虐待防止②誕生前から幼児期までの成長の保障③安心して過ごし学べる公教育の再生、いじめ防止と不登校児の支援 ― などを挙げ、推進体制に自治体こども計画の策定支援を盛り込んだ。

一方、こども家庭庁は10月27日、こども政策に関する国と地方の協議の場を開催した。全国知事会など地方3団体が、こども政策は自治体が実施主体だとして「安定した財源の継続的な確保」を求めたほか、「大綱が目指す数値目標は数値達成を目標としない」(全国市長会)、「町村では専門人材不足や財政力格差があり、大綱に『地域間格差の是正』の明記を」(全国町村会)などの意見が出た。

◎車中泊避難者の抑制と避難所への誘導を ― 内閣府

内閣府の避難生活支援検討会は11月22日、「論点の中間整理」をまとめた。近年の災害では避難所のほか在宅や車中泊で避難生活を送る避難者等が増えているため、自治体が担う支援方策の見直しが必要だとし、避難所以外の支援拠点に公民館や自治会館、公園等の屋外スペース、教育拠点などを挙げた。また、災害関連死は自宅が最も多いため、在宅避難者の状況把握と在宅避難生活で不足する飲料水等の物資支援の必要性を強調。さらに、車中泊避難では避難者等の状況把握が困難となる懸念を指摘し、①車中泊避難者を抑制し、避難所への誘導やホテル・旅館の活用②事前に車中泊避難場所を指定・公表③車中泊避難者等への物資支援と健康管理の支援が必要 ― などを提言した。

一方、総務省は11月2日、個別避難計画の策定進捗状況のフォローアップ結果を発表した。2023年10月1日現在の計画策定団体は171団体増の1,474団体(85%)で同日、未策定の267団体に早期対応を要請した。

井田 正夫 (月刊『自治総研』編集委員・委嘱研究員、元自治日報編集長)