地方自治総合研究所

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月刊『自治総研』

2024年2月中央の動き

◎調整死亡率、青森が男女ともにトップ ― 厚労省

厚労省は12月1日、2020年の都道府県別年齢調整死亡率を発表した。年齢構成の異なる地域間死亡率を比較できるよう調整したもの。全死因では、男性は長野をトップに滋賀、奈良、京都、神奈川の順で低く、青森を筆頭に秋田、福島、岩手、大阪で高い。女性は鳥取をトップに沖縄、熊本、長野、岡山で低く、青森はじめ福島、栃木、岩手、茨城の各県で高い。また、がんは男性は長野、沖縄で低く、青森、秋田で高い。女性は福井、大分で低く、北海道、青森で高い。心疾患では、男性は福岡、鳥取で低く、愛媛、和歌山で高い。女性は鳥取、沖縄で低く、愛媛、山口で高かった。

また、厚労省は12月20日、2022年度の市区町村の障害者虐待事例への対応状況を発表した。養護者による虐待では市区町村への相談・通報が8,650件(前年度7,337件)で、うち2,123件(同1,994件)を虐待と判断。被虐待者数は2,130人(同2,004人)。障害者福祉施設従事者による虐待は、市区町村への相談・通報が4,104件(同3,208件)、うち956件(同699件)を虐待と判断。被虐待者数は1,352人(同956人)だった。

◎シンプルな防災気象情報へ「体系整理」 ― 気象庁

気象庁と国交省は12月6日、防災気象情報に関する検討会を開き、シンプルでわかりやすい防災気象情報の再構築に向けた「体系整理」を示した。2024年夏にも報告をまとめる。防災気象情報の利用者ニーズ・利用形態が多様化しているため「受け手の立場」から見直しを検討しているもので、防災気象情報の役割を「情報の受け手の主体的な判断や対応を支援」としたうえで、①対応や行動が必要な状況であることを伝える簡潔な情報②背景や根拠を丁寧に解説③利用者がデータを容易にカスタマイズできる ― に整理。今後、防災情報の名称や警戒レベル相当情報などの体系整理、一層の活用に向けた取組などを検討する。

また、政府は12月20日、首相官邸で防災推進国民会議を開催した。国民の防災意識向上を目的に地方団体や学術界、企業などが参加しているもので、今後の活動方針では2024年で戦後最悪の火山災害・御岳山噴火から10年となることから「火山防災の普及啓発」を強化するほか、防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)を2024年10月19日に熊本県で開催することを決めた。

◎2024年秋に健康保険証からマイナ保険証に ― 首相

政府は12月12日、マイナンバー情報総点検本部を開きマイナンバー情報総点検結果を示した。合計8,208万件のうち紐付け誤りが8,351件あり、うち障害者手帳5,645件などが多かった。これを受けて、岸田首相は「新たな照合システムの自治体・国の機関への提供を(12月)18日より開始する」よう各閣僚に指示するとともに、「今後は再発防止対策を講じつつ定期的に確認を徹底。暗証番号の設定が不要な顔認証カードの交付などマイナンバーカードの改善を進め、現行の健康保険証を2024年秋に終了しマイナ保険証を基本とする仕組に移行する」との方針を改めて示した。

一方、厚労省は12月14日の医療保険部会でマイナンバーカードと健康保険証の一本化を審議。その中で、同省はマイナ保険証の不安払しょくに向けた取組状況を示すとともに、認知症など暗証番号設定に不安な人向けに「顔認証マイナンバーカード」を2023年12月15日から導入開始するとした。また、総務省は12月13日の地方連絡推進本部で、鈴木本部長(総務相)が同省幹部に顔認証カードなどマイナンバーカードの普及に向け各自治体を支援するよう訓示した。

◎強風等で街路樹の倒木が毎年約5,200木 ― 国交省

国交省は12月12日、街路樹の倒木調査結果を発表した。国や自治体が管理する全国約720万本の街路樹を対象に台風などの災害による倒木状況(2018~22年)を初めて調べた。その結果、倒木本数が年平均で約5,200本あった。うち、強風等の災害が約3,700本、強風等以外の要因による倒木が約1,500本で、伐採本数は年平均約2万6,700本あった。都道府県別にみると、北海道1,658本(うち強風等988本)、大阪1,082本(同777本)が圧倒的に多く、次いで東京445本、神奈川233本、千葉228本で多い。なお、倒木による被害(直轄国道)は人身1件、物損34件あった。国交省では、新技術の開発支援や活用方法を検討し道路管理者が適切な管理ができるよう取り組むとしている。

また、国交省は12月11日、全国屋上・壁面の緑化施工実績を発表した。2022年の屋上緑化は約15.6㌶、壁面緑化は約4.4㌶で、調査開始2000年からの23年間で屋上緑化は約597㌶、壁面緑化は約119㌶にのぼる。

◎大災害・感染症対応へ国に「指示」権 ― 地制調

政府の第33次地方制度調査会は12月15日、自治体への国の指示権拡充などを盛り込んだ「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申」を決めた。コロナ感染症では個別法が想定しない事態への対応で混乱したことを踏まえ「国が自治体に対し地方自治法を根拠に指示を行うことができるようにすべき」だとした。「指示」は、現行法では自治体の事務処理が違法な場合に限られているが、違法でなくても「指示」を可能とする。ただ、新たな「指示」は大規模災害・感染症まん延など国民の生命・身体・財産保護のため必要な措置が求められる場合に限定する。また、国・自治体関係の特例となるため手続で閣議決定を前提とした。答申は、このほか「DX進展を踏まえた対応」で①内部事務のデジタル化②デジタル技術を活用した意思形成と住民の参画③国・地方の共通基盤・共通機能の推進 ― を求めるとともに、「自治体相互間・公共私の連携」では公共施設の集約化・共同利用や「地域の未来予測」の作成による「目指す未来像」議論と政策への反映などを提案した。

なお、総会では答申に盛り込まれた指示権拡充の法制化をめぐり、委員から「指示権を発動できる要件をさらに明確化すべきだ」(赤間衆院議員)、「地方の意見を聞く場を設けた上で法案作成を」(平井全国知事会副会長)、「要件や必要性は極めて限定的かつ厳格な制度とするよう留意を」(立谷全国市長会長)、「あくまで補完的なものとし、その範囲も限定すべき」(吉田全国町村会長)など指示権拡充に慎重な対応を求める意見が相次いだ。一方、松本総務相は答申を岸田首相に提出した後の記者会見(12月22日)で、「総務省として、法制上の措置を含め答申の趣旨の実現に向けて全力で取り組みたい」と述べた。

◎生活保護の支援調整会議体の法定化提言 ― 厚労省

厚労省の社会保障審議会の部会は12月15日、生活困窮者自立支援制度・生活保護制度の見直しの最終報告をまとめた。生活困窮者自立支援法の「支援会議」設置を努力義務化するとともに、ケースワーカーと関係機関との支援調整を行う会議体の設置の法定化を提言した。また、被保護者向け就労準備支援事業・家計改善支援事業の法定化も求めた。子どもの貧困対応では子育て世帯に対する学習・生活環境の改善、進路選択や奨学金活用の相談・助言ができる事業の創設、高校卒業後に就職する際の新生活支援の一時支援金の支給も提言。さらに、被保護者向けの就労準備支援事業・家計改善支援事業・居住支援を任意事業として法定化する必要性も指摘した。

一方、厚労省は12月5日、生活保護制度等に関する国と地方の協議を開催した。同省が示した「制度見直しの方向性」に対し、全国知事会など地方3団体は①居住支援での都道府県による支援の仕組み検討と職員向けマニュアルの提示②生活困窮者自立支援法の支援会議設置の努力義務化では柔軟な対応③就労自立給付金の対象拡大では確実な財源確保 ― などを要請した。

◎2024年度地財対策で意見交換 ― 国・地方協議の場

国と地方の協議の場が12月18日、首相官邸で開催され、2024年度予算編成と地方財政対策で意見交換した。冒頭、岸田首相が「健康保険証を来年秋に終了しマイナ保険証に移行する」とし、地方の協力を要請。これを受けて、村井全国知事会長が24年度予算案と地財対策の要望と併せてライドシェアについて地域事情を踏まえた制度とするよう要請。このほか、地方6団体側から「健康保険証廃止では高齢者に配慮」(全国市長会)、「デジタル化の推進・標準化に移行できない町村に不利益を生じさせない」(全国町村会)、「主権者教育の推進への支援・協力を」(全国都道府県議会議長会)などの意見・要望が出た。

また、関係閣僚からは「自治体システムの標準化移行経費は国がしっかりやる」(河野デジタル相)、「こども施策の自治体の先進的取組の横展開や制度化も行っていく」(加藤こども担当相)、「移動の不便解消に自家用車・ドライバーの活用等も検討」(斎藤国交相)、「2024年度に向け一般財源総額をしっかり確保する」(松本総務相)などの発言があった。

◎2024年度の交付税総額は1.7%増を確保 ― 地財対策

総務省は12月22日、2024年度の地方財政対策と24年度総務省予算案を発表した。地財対策では、地方交付税総額(出口ベース)を前年度比3,060億円(1.7%)増の18兆6,671億円確保する一方、臨時財政対策債は同5,402億円(54.3%)減の4,544億円に抑制。また、地方税・地方譲与税は同130億円(0.0%)減の45兆4,622億円とした。財源不足は同1,768億円(8.9%)減の1兆8,132億円で、折半対象財源不足は23年度に引き続き生じていない。この結果、一般財源総額(交付団体ベース)は同5,545億円(0.9%)増の62兆7,180億円となる。

このほか、こども・子育て関連では、「こども未来戦略」の「こども・子育て支援加速化プラン」の24年度地方負担分(2,250億円)を全額地方財政計画に計上し必要財源を確保するとともに、自治体の独自政策(ソフト)のため地財計画の一般行政経費(単独)を1,000億円増額、関連施設の環境改善(ハード)のため新たに「こども・子育て支援事業費(仮称)」500億円を計上し「こども・子育て支援事業債(仮称)」を創設。さらに、普通交付税算定で新たな算定費目「こども子育て費(仮称)」を創設する。また、給与改定では会計年度任用職員分600億円、同職員への勤勉手当支給に1,810億円を計上。物価高対応では施設光熱費高騰や委託料増加を踏まえ一般行政経費(単独)に700億円計上するほか、地域脱炭素の過疎地域での取組推進のため過疎対策事業債に「脱炭素化推進特別分」を創設する。

2024年度総務省予算案は前年度比1兆3,482億円(8.0%)増の総額18兆2,107億円。うち、マイナンバーカードの利便性・機能向上など地域DXの推進に458億円、「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」の推進82億円、消防防災力・地域防災力の充実強化 91億円、地域で活躍する人材の充実・地域活性化20億円などを計上した。

井田 正夫 (月刊『自治総研』編集委員・委嘱研究員、元自治日報編集長)