地方自治総合研究所

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月刊『自治総研』

2024年3月中央の動き

◎安定的「8000万人国家」を提案 ― 人口戦略会議

民間の人口戦略会議は1月9日、「人口ビジョン2100」を公表した。現状では総人口が2100年には6,300万人に減少し、高齢化率40%の「年老いた国」になると指摘。その背景に、国民への情報共有や女性の意識・実態を重視しなかったことなどを挙げ、「安定的で成長力のある『8000万人国家』」を目指すため「人口定常化戦略」「強靭化戦略」を提案。その具体策に、①若年世代の「所得向上」や不安定な就労を解消する「雇用の改善」②年齢や環境に関わらず学業や就労で多様な選択ができるよう制度・社会規範の見直し③男女ともに性や妊娠の知識を身に付けるプレコンセプションケアの普及④子育て支援制度を一つの制度に統合し「総合的な制度」を構築 ― などを挙げた。

また、国立社会保障・人口問題研究所はこのほど、日本の地域別将来推計人口を発表した。2050年の総人口は東京都を除く全ての道府県で2020年を下回り、秋田県など11県では30%以上も減少。また、65歳以上人口の割合が2050年には秋田県(50%)など25道県で40%を超える。市区町村では、96%の団体で50年の人口が20年より減少。うち20%の341団体では5割以上減少。また、65歳以上人口が過半数を超える団体が20年の59団体から50年には557団体(32%)に増える。

◎女性市議会議員の割合が20%に上昇 ― 全国市議長会

全国市議会議長会は1月15日、市議会議員の属性調査結果(2023年5月集計)を発表した。全市議会議員1万8,510人のうち男性は1万4,862人(80.3%)で、前年より431人減少。女性は3,648人(19.7%)で、同341人増えた。なお、女性議員の比率を統一地方選挙ごとにみると15年14.4%、19年16.5%と毎回高まっている。また、議員の年齢は60代が33.0%、在職年数は5年未満が35.4%、兼業状況は議員専業が46.8%でそれぞれ最も多い。なお、市議会事務局職員数は6,462人で、1議会平均7.9人となる。

一方、総務省は1月1日、2024年中の地方議員・首長の任期満了を発表した。都道府県知事は6都県(熊本、鹿児島、東京、富山、岡山、栃木)で、都道府県議会は沖縄の1議会。また、市区長は161団体(うち特別区3)、市議会は74団体、町村長は193団体、町村議会は107団体で任期が満了する。

◎新築公立学校の71%で木材を利用 ― 文科省

文科省は1月16日、公立学校施設の木材利用状況を発表した。2022年度に新築された全学校施設676棟のうち477棟(71%)で木材を使用。うち、木造が100棟(15%)、非木造576棟(85%)のうち377棟(65%)で内装木質化を実施していた。また、22年度に新しく建築・改修した学校施設では2万9,815立方㍍の木材を使用。うち、1万263立方㍍(34%)が木造施設、1万9,552立方㍍(66%)が非木造施設の内装木質化等で使用された。具体的には、北海道枝幸町立枝幸町認定こども園では道産トドマツを建築用木材に利用。京都府京丹波町立たんばこども園では構造材や内装材、家具など全ての部材に町産木材を使用。新見市立哲多認定こども園では木造の瓦ぶき園舎とした。文科省では、調査結果を受けて各自治体に公立学校施設での木材利用促進を求める通知を出した。

◎国の「補充的な指示」創設に反対 ― 日弁連

日弁連は1月18日、第33次地方制度調査会が答申した災害・感染症危機の際の「国から地方への補充的な指示」の創設に反対する意見書をまとめ岸田首相等に提出した。同制度の創設は国と地方の「対等協力」関係を大きく変容させ、自治事務に対する国の不当な介入を誘発する恐れが高いと批判。併せて、「DXによる自治体の業務改革」で打ち出したオンライン手続へのシフトなども「個人情報やプライバシー保護の視点が極めて不十分だ」と指摘し、地方自治法改正案の国会提出に反対するとした。また、全国知事会も1月23日、「国の補充的な指示の創設」で提言を発表した。同制度は国・地方の一般ルールを損なう恐れがあるとし、①指示は事前に自治体と十分協議・調整を行い安易に行使しない②指示は目標達成のための必要最小限とする③指示は国と自治体の関係の特例と位置付け一般ルールと区別する ― よう求めた。

一方、政府の地方分権改革有識者会議は1月24日、2024年の重点募集テーマを「デジタル化」と決めた。住民サービスの向上・負担軽減のための行政手続オンライン化や自治体の業務効率化・高度化のための国の規制見直やデジタル技術の活用などの提案を自治体から受け付け、12月に対応方針を閣議決定する。

◎都道府県・市町村連携のDX推進で要請 ― 総務省

総務省は1月19日、地域DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進体制構築を求める大臣名の書簡を全国の都道府県知事・市町村長に送付した。人口減少が進む中、地域社会の課題解決にはDX推進が不可欠だが、全国的にデジタル人材が不足する中、特に小規模市町村では推進体制が確保できていないとし、「必要なデジタル人材の確保・育成に関する市町村への取組支援への対応」を要請した。なお、同省が2023年12月に示した「人材育成・確保基本方針策定指針」でもDX推進の職員育成などを盛り込んだ。

また、全国知事会は1月15日、地方分権推進特別委員会を開き、茨城県が提案した「地方公務員法関連法令の見直し」を審議した。同提案は、DXの普及推進で都道府県でも高度な専門知識や経験を踏まえた人材確保が必要だとし、各団体の創意工夫によるジョブ型の人事給与制度など給与・勤務時間の柔軟化を求めている。夏の総会で提言を決める。なお、総務省も2023年10月に「社会変革に対応した地方公務員制度検討会」を発足させ、デジタル化を踏まえた働き方改革などを審議。25年度末に報告をまとめる。

◎地方への人の流れ創出で中間まとめ ― 国交省

国交省の委員会は1月19日、移住・二地域居住等の促進に向けた対応の方向性で中間取りまとめを了承した。新たな国土形成計画が掲げる「地方への人の流れ創出・拡大」に向けた具体策に「住まい」では空家の活用支援や若者・ファミリー層の住宅取得支援、お試し居住の促進などを提案。「なりわい確保」ではシェアオフィスの整備や新たなビジネス機会の創出など、「コミュニティ」では定住・交流促進施設の整備や「どんな人に来てほしいか」の自治体の情報発信などを提案した。併せて、官民連携と都道府県・市町村連携による体制づくりの必要性も指摘した。

また、国交省は1月4日、小さな拠点形成の調査結果(2023年5月現在)を発表した。市町村版総合戦略に位置付のある小さな拠点は392市町村で1,538箇所あり、前年より10市町村、28箇所増えた。集落生活圏の範囲は小学校・旧小学校区が多く、地域運営組織は1,302箇所で形成されている。小さな拠点の集落生活圏人口は全国で約320万人、1箇所当たりは2,082人。小さな拠点が関わる集落数は全国で2万3,143集落あり、1箇所当たり約15集落ある。このほか、小さな拠点・地域運営組織に対し391市町村が運営費補助、市町村職員の参画、施設整備費補助などで支援している。

◎こども・子育ての対策費の活用を要請 ― 総務省

総務省は1月22日、全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議を開き、「2024年度の地方財政の見通・予算編成上の留意事項」(事務連絡)を示すとともに留意事項などを説明した。冒頭、大沢自治財政局長が「来年度からこども・子育ての対策強化が始まる。新たに単独事業のソフト・ハード対策の経費も来年度地方財政計画に盛り込んでいるので、積極的に活用いただきたい」と要請。また、新田財政課長は普通交付税に創設する「こども子育て費」について「これまで福祉費や衛生費、教育費などにばらけて入っていたものを地方負担分も合わせて新しい費目に統合し、子ども関係費の一元化、見える化を図るもの」と説明。赤岩交付税課長は会計年度任用職員の給与改定・勤勉手当支給経費について、従事する職務を具体的に想定している同職員の経費は各算定費目で、その他の同職員に要する経費は包括算定経費で算定するとした。

一方、内閣府は1月22日の経済財政諮問会議に中長期の経済財政試算を示した。基礎的財政収支(PB)の黒字化を「成長実現ケース」では2026年度とこれまでの見通しを維持したが、低成長が続く「ベースラインケース」では26年度以降も赤字が拡大する。会議で、岸田首相は「25年度の基礎的財政収支の黒字化が視野に入ることが示された。このため我が国を『新たなステージ』へと引き上げていく必要がある」と述べた。

◎2.5%ベアへ介護報酬加算率を引き上げ ― 厚労省

厚労省の社会保障審議会分科会は1月22日、2024年度からの介護報酬見直し案を了承した。介護職員の処遇改善のため2024年度に2.5%、25年度に2.0%のベースアップにつながるよう加算率を引き上げる。また、介護職員の確保に向け介護職員の処遇改善措置が多くの事業所で活用されるよう介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について現行の各加算、各区分の要件、加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化する。なお、24年度予算案では、介護報酬改定率はプラス1.59%で、うち介護職員の処遇改善分がプラス0.98%(24年6月施行)となっている。

一方、同省は1月12日、2022年介護サービス施設・事業所調査結果(22年10月1日現在)を発表した。施設・事業所数は介護老人福祉施設が8,494施設(前年比1.0%増)、介護予防認知症対応型共同生活介護が1万3,745事業所(同0.3%増)、訪問介護が3万6,420事業所(同2.3%増)など。また、従業者数は、介護老人福祉施設が29万8,906人、訪問介護は50万9,441人、通所介護は22万3,462人など。

◎受診歴など消防分野のDXを推進 ― 消防白書

総務省消防庁は1月23日、2023年版消防白書を公表した。特集で、新型コロナウイルス感染症対策・熱中症への対応や消防防災分野におけるDXの推進、関東大震災100年などを取り上げた。コロナ感染症が5類に移行したが、救急搬送困難事案が急増した場合は感染症法の都道府県連携協議会等を活用し消防機関と医療機関が連携するよう消防庁から消防機関に要請するとした。また、救急隊が搬送先や医療機関を選定する際にマイナンバーカードを活用して受診歴などを閲覧できるシステム構築に取り組むほか、災害現場の状況を早く把握できるようドローン配備を進めるとした。

また、国交省は1月18日、2023年の土砂災害発生件数を発表した。43道府県で1,471件の土砂災害が発生し、死者8人、人家被害262戸の被害となった。統計開始(1982年)以降の平均発生件数1,099件、直近10年の平均発生件数1,446件を上回った。

井田 正夫 (月刊『自治総研』編集委員・委嘱研究員、元自治日報編集長)